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ANA、「時差ボケ調整アプリ」提供など「乗ると元気になるヒコーキ」プロジェクト開始。高梨沙羅選手が時差ボケについて語る発表会

9/15(土) 17:13配信

Impress Watch

 ANAホールディングスは9月14日、「ANA Travel Wellness 乗ると元気になるヒコーキ」プロジェクトを始動。第1弾サービスとして「時差ボケ調整アプリ」の開発に着手したことを明らかにした。

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 同日、女子スキージャンプの高梨沙羅選手がゲストとして登場する記者発表会が開催され、ANAホールディングス デジタル・デザイン・ラボ チーフ・ディレクター 津田佳明氏のほか、時差ボケに関する調査に参加した東京大学 医学系研究科 健康教育・社会学分野 准教授の近藤尚紀氏、Asia Pacific Director. McCann Public Health, McCann Healthcare Worldwide Japan 林英恵氏、アプリを共同開発するニューロスペース 代表取締役CEO 小林孝徳氏が出席して、プロジェクトの概要が発表された。

 時差ボケ調整アプリは、2019年4月サービス開始を目指してANAホールディングスとニューロスペースが共同で開発を進めているアプリ。フライト情報や現地での予定をもとに、時差ボケを調整するために必要な光の浴び方、食事のとり方、睡眠・仮眠の取り方、体の動かし方など、体によいことやいけないことが、出国前、機内をはじめとした渡航中、帰国後のそれぞれのタイミングにおいてアプリで提供されるという。

 海外遠征でヨーロッパに行くことが多いという高梨選手はトークセッションに参加。高梨選手は「現地についてすぐに体を動かしたいので、その時間に合わせて、場合によっては寝ていたり、映画を見て起きていたりします」と話すとともに、「日本との時差が8時間ほどあるので、うまく頭が働かないときもありますし、ジャンプの場合ケガにもつながるので、実際に練習をキャンセルしたこともあります。そうならないように気をつけていても調整というのはすごく難しい課題」と、自身の時差ボケの経験について語った。

 また、時差ボケ調整アプリについて、高梨選手は「冬場に入ると試合も多いので、試合に合わせて調整していけるコンテンツやアドバイスが多いとありがたいと思います」と期待感を話した。

■ANAホールディングス相談役の大橋洋治氏の宿題「乗ると元気になるヒコーキ」

 発表会でANAホールディングスの津田氏は「乗ると元気になるヒコーキ」プロジェクトは、ANAホールディングス相談役の大橋洋治氏がANA(全日本空輸)社長時代に出した宿題であることを紹介。「お客さまが飛行機にご搭乗された後でも疲れを感じず最大のパフォーマンスを発揮していただきたい」「飛行機に乗る前よりも元気になっていただきたい」という思いが企画の発端であることを話した。

 さらに、第1弾サービスに続き、第2弾サービスとして「空の人間ドック」「機内マインドフルネス」を計画していることを紹介。空の人間ドックは機内の時間を使って自身の健康状態を可視化し、利用者の健康に寄り添う時間や空間を機内や空港で提供する取組み。機内マインドフルネスは、機内空間において「今この瞬間の自分」に集中できる環境やメソッドを提供し、利用者の心と身体を整える取組み(座禅・瞑想・ヨガなどを取り入れる予定)といった、さまざまな取り組みを進めていくことが示された。

 また、現状の機内サービスについて、小林氏は「現地時間を考えながら食事を提供する、照明を消すといった全体的な部分での対応はしておりますが、それぞれお客様がどこに向かうのかといった部分については、ビジネスクラスでもアイマスク、イヤプラグをお渡して、あとはご自身のコントロールに任せるといった状況です」と、将来的にそういった部分のサービスについてパーソナライズ化を目指していきたいという。

■医学的見地から時差ボケに関する調査を実施

 今回、ANAホールディングスでは、長時間の国際線のフライトにおいては、時差ボケや睡眠不足などが、疲労の蓄積につながると一般的に考えられており、その医科学的な根拠を解明するため、ハーバード公衆衛生大学院社会行動科学学部学部長のイチロー・カワチ教授らの研究グループに協力してもらい、日米の利用者の時差ボケに対する意識調査や日常の行動と時差ボケの関連性の研究を実施した。

 発表会では、同研究グループに参加した東京大学 准教授の近藤氏、McCann Healthcare Worldwide Japan,の林氏がANAのプレミアム会員、直近1年間の国際線(ビジネスクラス)搭乗者を対象に、計2242名にインターネットで実施した調査結果を報告した。

 その報告では、機内では「渡航先の昼間の時間に合わせて光を浴びる」「渡航先の夜に合わせた睡眠時間の確保」「十分な水、フルーツジュースや繊維性の食物を摂取」。渡航先では「日中の眠気軽減のための運動の実施、カフェイン摂取や軽い昼寝などでの調整」といったこれまでの研究で分かっている機内・渡航先での効果的な方策を紹介。

 調査のまとめとして、工夫次第で時差ボケや旅の疲れは減らせるとし、「時差ボケ防止の知識提供+α」の必要性や、時差ボケ対策法は発展途上でさらなる科学的な検証が必要とまとめた。

■ニューロスペース 小林氏「世界に通用する時差ボケソリューションに」

 今回、アプリを共同開発するニューロスペースは、企業向け睡眠改善プログラムを国内大手企業に提供するなど、独自の睡眠計測デバイスと解析アルゴリズムをもとに共同研究開発も行なう睡眠テクノロジーベンチャー。

 飛行機に搭乗した際、疲労を感じる一番大きな要因が「時差ボケ」で、その時差ボケを誘因する要素として、音・光・食事との相関が高いといった研究結果を踏まえて、2019年4月のサービス開始を目指して「時差ボケ調整アプリ」の開発を進めていく。

 発表会に登壇した小林氏は、すでにアプリを利用した実証をすすめていることを紹介、「アプリの実証のみならず、お客様との接点のあるANAさまと一緒に、例えばラウンジでの過ごし方、機内での過ごし方といった部分も実証して来年度から展開していきたい。また、われわれとしては世界に通用する時差ボケソリューションをこれから一緒に開発していきたい」と意気込みを述べた。

トラベル Watch,編集部:椿山和雄

最終更新:9/15(土) 17:37
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