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<熊本地震>障害持つ娘2年ぶり同居 バリアフリー自宅再建

9/15(土) 13:57配信

毎日新聞

 2016年4月の熊本地震で熊本県益城町の自宅が全壊し、別居を余儀なくされた一家3人が、地震から2年5カ月を経てようやく元の暮らしを取り戻した。障害のある娘が仮設住宅で同居できずに施設に避難していたが、バリアフリーの新居の完成で家族一緒に住める喜びをかみ締めている。熊本と同じ最大震度7を観測した北海道地震の報道には心を痛め、同じ被災者として「早く暮らしが再建できるよう願っています」と思いを寄せる。

 一家は同町で模型店を経営する小嶺隆さん(69)と妻ひろ子さん(68)、次女典子さん(41)。典子さんは高校3年の時、体育の授業で飛び込み前転の練習中に頭を強打。外傷性くも膜下出血と診断されて強い頭痛に悩まされ、手術を繰り返し入院は2年10カ月に及んだ。事故の影響で失語症になったほか、右半身にまひが残って車椅子生活になった。

 それから小嶺さん夫婦は典子さんのため自宅にエレベーターを設置し、風呂にはクレーンをつけて2人で介助してきた。だが、熊本地震で自宅は全壊。町商工会事務室に一家で身を寄せたが、室内での移動や入浴などの負担が大きく、1カ月後にやむなく典子さんは同県山鹿市の障害者支援施設に避難した。

 夫婦は16年8月に町内の仮設住宅に入居したが、典子さんが生活するには狭くて同居はかなわなかった。度々施設を訪ねていたが、去り際に典子さんが見せる寂しそうな顔に胸が締め付けられた。「一日も早く一緒に暮らしたい」。夫婦の思いは日増しに膨らんだ。

 全壊した自宅は町が計画する区画整理事業の対象地域にある。全体計画が決まらない段階で跡地に自宅を再建した場合、後に所有地を変更する「換地」を迫られる可能性もある。それでも夫婦は「娘が入院して苦しんでいる時に何もしてあげられなかった。娘のために」と再建を選んだ。

 バリアフリー構造にした自宅は今年6月末に完成。荷物を徐々に運び入れ、今月1日にようやく典子さんを迎え入れることができた。典子さんのための電動ベッドも備え、地震前のように家族で安心して生活できるようになった。「ノリちゃん」。ひろ子さんの声に、典子さんは安心したように笑顔を見せた。【中里顕】

最終更新:9/15(土) 14:16
毎日新聞