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映画界の次世代ミューズ・芋生悠、出演作を集めた『はじめての映画まつり』開催 自身の作品を語り下ろすインタビュー

9/15(土) 8:50配信

デビュー

 デビュー以来、2年間で多数の若手クリエイターの自主制作映画に出演、映画界の次世代のミューズとして期待される20歳の女優・芋生悠。彼女がこれまでに出演してきた映画をまとめて上映するイベント『M's Cantina presents 芋生 悠 はじめての映画まつり』が、23日(日)東京「エムズ・カンティーナ」、10月10日(水)大阪「スタジオSUGURI」で開催される。初の映画祭を控える芋生に、自主映画の魅力について語ってもらい、それぞれの上映作品について振り返ってもらった。

【写真】映画界が期待する新人女優・芋生悠

■芋生悠「はじめての映画まつり」インタビュー■

――自身初の映画祭の開催が決まっての感想はいかがですか。

「インディーズの映画にここまでたくさん出演してきて、『あの作品もうやらないの?』って、過去の映画を観たいと言われることがここ最近増えてきて。そういう人たちに、集大成的に観ていただける機会を与えてもらえたのはすごく嬉しいです。エムズ・カンティーナさんは、熊本から上京したての右も左も分からない時に出会った方々で、ずっと応援してくれていて、愛を感じます」

――どんなイベントになりそうですか?

「開催を発表したら、来たいと言ってくださる監督もいらして。監督と喋ってみたいという人も来て、交流の場になったら面白いと思います。本当にこじんまりしたスペースだし、ここで出会って繋がってきた人も多いので、映画を通して仲良くなれたらいいなって思います」

――2年間で主演を含めて25作品以上というのは、自身で振り返ってもすごいと思いませんか?

「2年はあっという間で、ダーッて駆け抜けてきた感じ。たくさんの人と出会ってきましたし、主演作も多いので、濃厚に監督さんやスタッフさんと話し合いながら一つの作品を作るという作業が毎回できるっていうのは、恵まれてるなって思います」

――自主制作の場合は商業性に囚われ過ぎず、個性を丸くしないでそのまま出せるという側面もありますよね?

「私の中にあるものを引き出そうとしてくださる監督が多くて。普段の生活では自分の中にあるものを、上手く出せなくてもどかしいんですが、作品と出会うことで自分は生かされてきたなと思います。最近撮った今関あきよし監督の『えのしまピエロ』にも救われました。女優を目指している女の子が主人公なので、女優志望の方にも勇気がもらえる作品になっていると思います」

――自主映画の主演だと、監督と一緒に世界を創り上げていける面白さがありそうです。

「役者を目指したのは、絵を描き始めたり、表現することを始めたことがきっかけだったので、表現することは止めたくないと思っているんです。インディーズの映画だと、ここは譲りたくないという部分をみんなが出し合って、ぶつかり合ってケンカして、っていうことができるので面白いです。でも、最近タイでロケを行うテレビドラマに出演させていただいたんですが、規模が大きな作品の中でも自分の意見は言ったほうがいいし、どんな現場にも一緒に作りたいという気持ちがある人が絶対にいる。自主映画だから、商業的な作品だからということではなく、信念は曲げちゃいけないということが分かりました」

――それはデビューのときから大きな流れのなかに入ってしまうと見えにくいことかもしれません。

「私の場合は、最初から大きな現場にポイッて放り込まれていたら、訳がわからなくなって、大事なことを見失ってしまったかも。地道ではありましたが、この2年間でギュッと濃厚に、いろんな人たちと関わって、多くのことを学ばせてもらったなあって思います」

――今回上映される4作品は、何かに迷っている人が救済されるというところが通底している気がします。

「私の演じる役って、もがいてる子が多いんです(笑)。人ってどこかで救われたいって気持ちがあると思うんです。『大丈夫だよ』って言ってもらいたい。大人と子供の狭間にいる子っていうのが一番不安定で辛いのかな…一番強がってるし」

――芋生さん自身が、言動やビジュアルを含めて、そういう役柄を託したいと思えるキャラクターなのかなと思います。

「それはありがたいですね、自分が役者をやっている意味もそこにあると思うし、『救われたい』って思っている人たちのためにやっている部分もあるので。そのためなら、地面にはいつくばっても、身を削ってもやれるって思います」

――作中でも目の表情の変化が印象的です。

「私、人の目を見るのが好きなんですけど、目ってその人の心の鏡というのがよく分かる。目を見れば嘘もすぐにバレちゃうから、日ごろから苦しむことから逃げちゃいけないなと。そこから逃げてしまったら、人間としても役者としてもつまらないものになってしまうから、常に向き合っていたいなって思います」

――はじめての映画祭に来てくださる方へのメッセージをお願いします。

「人それぞれの感じ方で、映画からもらうものが変わってくると思います。自分は映画の中に魂を込めて、自分の弱さと向き合って演じました。観てくださった方に『まだやれる』っていう気持ちになって帰ってもらえると思うので、心の中に救われたいという気持ちがある人に観に来てほしいなって思います」

■芋生悠:セルフライナーノーツ■

★『えのしまピエロ』(2018年/15分/主演)
監督:今関あきよし 脚本:小林ひろとし
出演:池田萌子、芋生悠

江ノ島でロケをしたんですが、周りに観光客が普通にいるなかでゲリラ的に撮る感じが『ザ・自主』だなって。監督含めてスタッフ3人、キャスト2人の少人数で、監督自らカメラを回していたので、直前まで監督と普通にしゃべりながら、『あ、今撮れるね~』って、パッと撮って。今ちょっと撮れない状況になったら『アイス食べに行く?』とか(笑)。すごくラフな、旅行に来たような雰囲気で。江ノ島の土地からエネルギーをもらいながら撮影しました。

この作品で私はピエロを演じました。衣装はかなりカラフルなんですが、8ミリフィルムで撮影したので、いい感じに定着して存在できたと思います。ピエロは今まで演じた役のなかでもかなりの突飛さなんですけど、主人公の分身のような存在で、人間らしさを内に秘めて仮面をかぶるのって、普段の自分とあまり変わらないなあって思いました。私は自画像を描くとき、下描きは化け物みたいな絵になるんですよ。その上からだんだんと自分の顔に近づけていくので、それを思い出しながら、結局自分もそうやって仮面をかぶってるんだなって思うと面白かったです。

『えのしまピエロ』のクランクイン前に、脚本家の小林さんと監督の今関さん、池田萌子さんと、私の4人で、吉祥寺のロシアンカフェみたいなところに行って、私と池田さんの人となりを話しました。池田さんは歌をよく歌う、私は空手をするみたいなことを話したら、脚本に『蹴り』って書いてあって(笑)。完全に当て書きって感じでした。ファンタジックだけど、女優としての葛藤が赤裸々に描かれていて。池田さんも自分も葛藤してたし、いい時間だったなあって思いました。

★『ダウン・バイ・ザ・リバー』(2016年/76分)
監督:太田達成 脚本:加藤良太
出演:岡山天音、芋生悠、宮田早苗、ベンガル、他

これは熊本から上京する前、東京まで通って来ている頃の作品なので、観るのがめっちゃ怖いです(笑)。そのころの私は意固地になっていて『汚い大人の話は聞くな』『東京には染まらないぞ』って思っていたので、今観るとすごくキツイ顔してるなって。臨機応変さもマジで無いじゃん(笑)。でも、それもそのときにしか出せないものだし、いいのかなって思います。観ていただけたら変化も感じてもらえるかも。

この作品の主役の岡山天音さんがすごくて! 当時はまだ映画界で注目され始めたころで、そんなタイミングで天音さんと共演できたのはすごくラッキーでした。性別は違うんですけど、すごくリスペクトしている俳優さんなので。天音さんは身体からお芝居するのが上手だなと思って見入ってました。すごく肩の力が抜けていて、“今から動くぞ”という感じがなく、スッと動き出すことができているのがすごい。当時、自分は何も知らなかったので、動けてなくてガッチガチです。

★「それからのこと、これからのこと」(2016年/15分/主演)
監督、脚本:石橋夕帆
出演:芋生悠、笠松将/横瀬紗公良、武田一馬、古山憲正、永瀬千裕。

高校を卒業した次の日が撮影でした。卒業式の前日から卒業式が終わるまでを切り取った映画なので、本当にリアルタイムで。何回見返しても切なくて、記憶がその時点に戻るというか、自分があそこに残っちゃってる気がするんです。石橋監督の演出は、カメラが回り出すまでと回っている間が変わらなくて、本当に自然にスーッと入っていく。台詞も2~3枚で、あとはアドリブなので、リアルに卒業したての自分が写ってます。主演作というよりは、ドキュメンタリーとして思い出を残してくれた感じです。11月公開の映画『左様なら』で石橋監督とまたご一緒したんですが、今度は作りこんだ作風なので、石橋監督もどんどん進化してるんだなと思いました。

石橋監督とは『それからのこと~』が終わってからもずっと連絡を取り合っています。石橋さんは人一倍の妄想力があって、妄想の話なのに会話や仕草のディティールが細かくて、実際にあった事かのように話すんです。元々漫画を読むのが好きな方で、今まで出会った監督さんのなかでも特殊な感じの人。全部妄想のなかから出てきているのに、めっちゃ深いところまで掘り下げているというのがすごいです。

『左様なら』の脚本も私に当て書きしてくれたんですが、自分の嫌いな部分が、私が演じた役のなかにあって。自分の見せたくないところを演じないといけなくて。石橋さんは、そういうことと戦ってほしかったんだろうなって思いながら…。そんな部分も見抜かれるぐらい親密な仲ですね。

女性の監督とお仕事をすることが結構多いんですけど、女性監督はパワーやエネルギーがすごい。私を使うと決まったら、事前にめちゃくちゃリサーチしてきてくださるし、無理強いはせずに一緒に戦ってくれる感じがします。これから女性監督の時代が来るんだろうなって思うと、今のうちに出会っていて良かったなって思います。一緒にお仕事ができるように自分もがんばっていたいですし、現場に呼んでもらえるような女優でいたいなって思います。

★『あの群青の向こうへ』(2018年/96分/主演)
監督、脚本:廣 賢一郎
出演:芋生悠、中山優樹、瀬戸かほ、他。

脚本を読んだ段階で、自分が演じる役は、剥き出しで生々しく、フィジカルな感じがして、ちょっと湿ってるというか汗ばんでいるような女の子なのかなと、めっちゃアバウトに掴んでいて。そのために髪を切って、肌もちょっとだけ焼きました。映像でもショートパンツの生足が印象に残りますよね。田舎でもがいてる、洗練されてない女の子をリアルにちゃんと寄り添って演じたいと思いました。とにかく終盤に近付くにつれてその女の子が苦しい思いをしていくんですが、その苦しさとの戦いもあって、あまり撮影のことを覚えてないぐらい役にめちゃくちゃ入り込んでいました。

ラストに近いシーンで、おじさんにつかまってボロボロになった私のところに、主役の男の子が来るシーンは、深夜3時ぐらいに撮影して。二人とも寝れてない状態で、やばかったです。顔もぼろっぼろで、涙も鼻水も一緒になってるんですけど、顔は映って無いんです。撮ったけどあえて使ってないと思うんですが、内心映してほしかったな…(笑)。あのときは本当におかしくなって壊れてる感じでした。カットがかかった後も立ち上がれずに、ずっと地べたにぐだってなって。涙も鼻水もずっと止まらなくてうずくまってました。小1時間ぐらいそんな感じだったので、スタッフさんが黙って横についててくれました。過酷な撮影だったからこそ、そんなお芝居が出来た感じもしていて。それが正解じゃないのかもしれないんですけど、私はそれだけ自分を追い込まないと出ないんだなって思います。

この作品で『2018門真国際映画祭』最優秀主演女優賞をいただきました。今までたくさん作品に出てきましたが、何かの形で評価されないと、人の目にも止まらなかったりするので、一つそういう賞がもらえたことは嬉しかったです。

■M's Cantina presents 芋生 悠 はじめての映画まつり in 東京
日時:2018年 9月23日(日) 12:45開場/13:00開演/16:00終演(予定)
ゲスト:今関あきよし監督、石橋夕帆監督

■M's Cantina presents 芋生 悠 はじめての映画まつり in 大阪>
日時:2018年 10月10日(水) 18:45開場/19:00開演/22:00終演(予定)
ゲスト:未定

最終更新:11/16(金) 11:14
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