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(朝鮮日報日本語版) 【社説】南北首脳会談、韓国は煮え切らない北とまともに協議できるのか

9/15(土) 9:13配信

朝鮮日報日本語版

 韓国と北朝鮮が開城で南北共同連絡事務所を設置した14日、米国は北朝鮮に対する新たな制裁を発表した。米財務省は北朝鮮によるIT技術者の海外派遣と関連して北朝鮮国籍の個人1人、そして中国とロシアの企業2社を制裁対象に指定した。米財務省のムニューシン長官は「北朝鮮の非核化が実現するまで制裁は徹底して続けていく」と明言している。連絡事務所が設置された当日に米国で新たな制裁が発表されたとなれば、これは単なる偶然として片付けるわけにはいかないだろう。またこの日は米政府系放送のボイス・オブ・アメリカ(VOA)にかつて北朝鮮との交渉を担当した元米政府関係者が出演し、連絡事務所の設置を懸念するコメントをいくつも発した。

 米国は先月、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)の演説で「数日後には(南北共同連絡事務所を通じて)南北が24時間365日疎通できる時代が開かれる」と公言したその日にも北朝鮮に対する制裁を発表した。その後も米国は韓国に対して複数回にわたり「連絡事務所の設置を急ぐな」というメッセージを送り続けた。非核化が実質的に何も進展していない状況で、南北関係にばかり力を入れる韓国政府に対する一種の警告だったのは間違いない。

 韓国政府が本当に南北関係の改善に力を入れたいのであれば、来週の南北首脳会談で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長から非核化に向けた実質的な行動を目に見える形で引き出さねばならない。「金正恩氏の非核化に向けた意志は確かなもの」といった言葉だけの効果はすでに消え去った。今後は数十個あると推定される北朝鮮の核兵器を廃棄し、核関連施設を完全に閉鎖する実質的かつ本格的な行動が必要になる。それが実現すれば、南北関係は今後さらに順調に発展を続けるだろう。

 ところが首脳会談を目前に控えた今の雰囲気はどう考えても尋常ではない。準備のための実務協議は北朝鮮の非協力的な態度でずっと日程が決まらず、会談の4日前になって突然開催された。基本的な日程の協議にさえこれほど煮え切らない態度を取る北朝鮮が、非核化に向けた実質的な話し合いに素直に応じるとは到底考えられない。

 北朝鮮は連絡事務所の所長に誰が就任するかについても連絡さえしてこなかったが、韓国側の所長となる統一部(省に相当)の千海成(チョン・ヘソン)次官が開所式に行った際にやっと自らのカウンターパートを伝えたという。このように北朝鮮があまりにも常識外れの行動を続けても、韓国政府は相変わらず北朝鮮の顔色をうかがうばかりだ。このような状態で北朝鮮が嫌う非核化に関する協議などまともにできるのだろうか。今回の首脳会談はもしかすると北核廃棄に向けた最後のチャンスになるかもしれない。このチャンスを逃し北朝鮮に対する経済支援ばかりが首脳会談で並べ立てられれば、韓米関係の亀裂はもはや取り返しがつかなくなるかも知れない。