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北海道震度7地震 実名公表、割れた判断 「個人情報保護」曲解に疑問の声

9/15(土) 23:39配信

産経新聞

 5市町で計41人が死亡した北海道の地震では、犠牲者の氏名公表をめぐり各自治体の対応が分かれた。4市町は「遺族が同意しなかった」などとして死者の氏名を公表しなかったが、「個人情報保護」の曲解に疑問の声も上がっている。

 住民36人が犠牲となった厚真町は、震災直後から死亡確認された人の氏名と性別、住所、年齢を遺族の了承を得て記者会見で公表。同町は「大災害で多くの方が亡くなる深刻な事態となり、町内外に伝える必要性があると判断した」と説明する。

 一方で札幌、苫小牧、むかわ、新ひだかの4市町は「遺族の意向」などを理由に死者の名前を非公表とした。安否不明者については厚真町を含むいずれの自治体も公表しなかった。

 過去の災害でも、死者や不明者の公表をめぐって自治体の対応が議論を呼んできた。茨城県常総市で27年に起きた水害では県や市が不明者の人数のみを公表。発生から5日後に全員と連絡が取れたが、一般には氏名が伝わらないまま捜索が続くなど、混乱が生じた。

 内閣府によると、災害時には政府の防災基本計画に基づき、都道府県が被害者の人数を集約。死傷者や不明者の氏名公表は各市町村の判断に委ねられる。内閣府の担当者は「捜索が合理化し、救える命があるなら、積極的に公表すべきとの見解だ」と説明する。

 個人情報保護法や各自治体の個人情報保護条例では、本人の同意がない個人情報の提供は原則禁止だが、緊急性などがある場合は同意なしで提供できる例外があり、報道機関への情報提供などは禁止規定の対象外とされている。

 立教大の服部孝章名誉教授(メディア法)は「大災害を検証する際、死者の実名には大きな意味がある。不明者の実名公表では、人命救助と個人情報保護という双方の観点から公益性を踏まえて判断すべきだが、責任の所在が不明確だ。国をあげた議論を急ぐ必要があるのではないか」と指摘した。

最終更新:9/15(土) 23:39
産経新聞