ここから本文です

ナビタイムが旅行事業の開発に20年かけた理由とは? 大西社長に「商品開発のこだわり」と「最大の危機」を聞いてきた

9/15(土) 13:01配信

トラベルボイス

経路検索ナビゲーションの最大手、ナビタイムジャパン。旗艦サービス「NAVITIME」をはじめとするナビタイムジャパンの全サービスの利用者は月間ユニーク数約4800万、有料課金も約480万人に到達し、日常の移動に欠かせない存在になっている。現在では公共交通の乗換から渋滞状況、訪日外国人の動態分析まで、移動にまつわる様々なサービスを提供しており、2016年には第2種旅行業に登録。旅行プランの作成、航空券・宿泊予約、観光情報を網羅するトラベル事業「NAVITIME Travel」を展開している。

昨今、旅行サービスではLINEやDMM.com、さらにはメルカリなど、IT事業者をはじめとする異業種がスピード感を持って参入表明をする例が続き、旅行業界ではナビタイムも新規参入組とみる向きがある。しかし、実は、ナビタイムジャパンの旅行サービスのスキームは1996年に開発されていた。開発からサービス発表にいたるまで、20年の時を経た理由と背景を、代表取締役社長の大西啓介氏に聞いてきた。

20年前に開発した旅行サービスとは?

ナビタイムジャパンは現在、経路検索(トータルナビゲーション)、トラベル、インバウンド、交通コンサルティングなど多数の事業を展開している。骨格となっている技術が、徒歩から公共交通機関、自動車まですべての移動手段を使って出発地から目的地まで最適なルートを案内する「トータルナビゲーション」だ。

大西氏の父親が経営する大西熱学がインキュベーションとなり、1996年に社内ベンチャーとして経路探索エンジンのライセンスビジネスをスタート。1998年にトータルナビゲーションを完成させ、2000年にナビタイムジャパンを設立する。トータルナビゲーションの完成は、世界初のことだという。

そして、1996年の時点で、地図をデジタル化し、出発地、目的地、観光地などを入力すると、最適な個人旅行プランニングを表示する仕組みも完成していた。各スポットの距離や交通手段、移動や観光、食事にかかる所要時間を計算して表示するので、1日の観光プランをインターネットで自動的に完成できるというサービスだ。つまり、旅行に関わる技術開発は、創業時から着手されていたのだ。

当時、ここまで画期的なサービスを開発したならば、すぐにでも発表して収益化を図りたいと考えてもおかしくないだろう。ところが、大西氏は違った。「時刻表データや乗換時間、施設数と場所、レコメンド機能など、すべてが正確でないと利用者に信用されるサービスにはならない。自分たちが納得できる信頼性が担保されるまで、作り込む必要がある」と判断し、いったん事業を休眠状態とした。

1996年は折しもインターネットの商用化が始まり、旅行関連では楽天トラベルの前身であるホテル予約「ホテルの窓口(後の『旅の窓口』)」がスタート。日本のオンライン旅行業の幕開けの年でもある。当然ながら、サービスで使用できる旅行関連データもメモリーも少ないうえ、データを増やすほど即時性を保つことが難しくなる時代だったことも、サービス発表をとめた理由だ。

そのためナビタイムジャパンでは、看板事業のトータルナビゲーションの携帯電話向け提供やASP展開、通信カーナビなど、別のサービス開発に注力。そうするうちに、時代の流れとともにインターネット、WiFi環境が整い、旅行市場では団体旅行から個人旅行へのシフトも進んだ。

「リリースするタイミングはさまざまだが、あまりに早すぎても無理が生じる。テクノロジーの進化、インフラ整備、市場変化の波長が合ったことは大きい」(大西氏)。そうして20年の時を経て2016年にいよいよトラベル事業に乗り出した。

NAVITIME Travelは日本語だけでなく、英語、簡体字、繁体字、韓国語版もあり、2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控え、急増する訪日外国人の取り込みも視野に入れる。通信状況が変動しても、データが膨大になっても即時性を保つために改良を重ね、入力から結果を表示するまで2秒というルールも守り続けているという。

1/3ページ

最終更新:9/15(土) 13:01
トラベルボイス