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廃プラ処理 経営圧迫 業者減少、中国禁輸… 農家を直撃 1年で費用2、3倍に高騰 九州のJA 資材下げも相殺

9/15(土) 7:02配信

日本農業新聞

 使い終わったマルチやビニールなど農業用廃プラスチック(廃プラ)の処理費が高騰し、農家の負担が増している。地域によって差があるが、2、3倍に値上がりした例もある。量が多い農家だと、1戸で年間100万円近くの出費になるとの懸念もある。処理業者の減少や、中国による輸入禁止措置などが響いた。JAの資材価格の値下げを相殺する要因にもなっている。(松本大輔)

 鹿児島県霧島市の野菜集荷場。年に2回の廃プラ回収日を迎えた8月下旬、使用済みのマルチや飼料ラップなどを積んだ車が次々とやって来る。マルチ約500キロを持ち込んだダイコン農家、楠木政重さん(46)は「処理費の値上げで負担が増した。自分で燃やすわけにいかず、どうしようもない」と肩を落とす。

 地元のJAあいらによると、管内の農業用廃プラの回収量は年間95トン。園芸作物に使うマルチがほとんどだ。処理費は種類によって違うが、2017年度から徐々に値上がりし、現在は16年度の倍に当たる1キロ当たり52~64円となった。農産物の販売価格には転嫁できず、全て農家の負担となる。JAも「自己改革で資材価格を下げても、こうした外部要因で相殺されてしまう」(経済課)と頭を悩ます。

 廃プラを処理する業者は「人手不足で、車両などの維持にも資金が必要。これまでの単価では運搬や回収を続けられない」と厳しい台所事情を明かし、値上げに理解を求める。JAは「これまでは入札をかけて少しでも安い業者に依頼していたが、今は応じる業者が1社しかない」(同)と説明する。

 中国が環境規制のため17年末から廃プラの禁輸に動いたことも響いている。国内で処理する必要が生じ、業者コストが増加。それに伴い農家の負担も増えた構図だ。

 福岡県のJAみい管内では、昨年まで廃プラの処理を手掛けていた業者が手を引いたため、今年から別業者が受託する。その業者も、中国に輸出できなくなったのを受け処理費の値上げに踏み切った。処理費は昨年までの1キロ12円から36円へ3倍に高騰。JAによると、管内の回収量は年間270トンほど。「多く出す人は年間100万円近い負担になる」(経済課)と懸念する。

 農業用廃プラは産業廃棄物に指定されており、不法投棄や野焼きなどをすると罰せられる。

リサイクル設備導入支援を強化

 中国の廃プラ輸入禁止措置を受け、環境省は19年度から国内のリサイクル設備の導入支援を強化する。同年度予算の概算要求に前年度の3倍となる45億円を盛り込んだ。効率的な設備を導入する処理業者に対し、費用の2分の1を補助する。20年度まで続ける考え。

 同省によると、日本はこれまで年間百数十万トンの廃プラを中国に輸出していた。同国に加え、代替輸出先となっていたタイやベトナムなども禁輸に踏み切り、さらに他の東南アジア諸国にも同様の動きがあることを踏まえ、事業を拡充する。

最終更新:9/15(土) 7:02
日本農業新聞