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「はやて」はいま 東北新幹線の絶滅危惧列車、存在価値は何か?

9/15(土) 13:15配信

乗りものニュース

最盛期は臨時を含めて30往復以上の勢力

 現在の東北新幹線の主役は「はやぶさ」です。東京~新青森間、さらに北海道新幹線の新函館北斗駅まで足を伸ばしています。最長距離を最速で走る列車です。

【写真】「はやぶさ」などとして走る緑色のE5系

 しかし「はやぶさ」が登場する前の主役は「はやて」でした。東京~八戸間を最速で結び、かつて総勢30往復以上の勢力を誇っていました。しかし、いつの間にか運行本数を減らしています。現在、東京発の定期列車は1本だけです。

「はやて」は2002(平成14)年、東北新幹線の八戸延伸開業時に誕生しました。新型車両のE2系を使用し、秋田新幹線「こまち」に続く全車指定席の列車としても話題になりました。東海道新幹線の最速列車「のぞみ」に相当する列車ともいえます。2003(平成15)年に「のぞみ」には自由席が設定されましたが、「はやて」は一部の例外を除いて全車指定席を維持して今日に至ります。所要時間の短縮を追求して、上野駅や大宮駅を通過する列車も設定されました。東北新幹線にワンランク上の列車が出たという印象です。

 登場時の「はやて」は1日16往復の定期列車が設定されました。このうち東京~八戸間が15往復、仙台~八戸間が1往復です。また、東京発着の15往復のうち、14往復は秋田新幹線「こまち」と併結しました。最速列車「はやて29号」は東京~八戸間を2時間56分で走り、それまでの「やまびこ」と在来線特急「はつかり」を盛岡で乗り継ぐよりも、所要時間を37分も短縮しました。

「はやぶさ」320km/h運転が転機に

 2005(平成17)年12月のダイヤ改正では、東京~盛岡間の「やまびこ」のうち、速達タイプの2往復が「はやて」に変わりました。その後「はやて」は「やまびこ」を置き換える形で増え、2010(平成22)年のダイヤ改正では定期列車だけで24往復となります。繁忙期の臨時列車を含めると30往復以上に勢力を拡大しました。

 東北新幹線の新青森駅延伸開業から間もない2011(平成23)年3月に緑色の新型車両「E5系」が導入され、最速列車の愛称が「はやぶさ」に決まりました。当時の「はやぶさ」は東京~新青森間で2往復、東京~仙台間で1往復です。まだ、東京~新青森間でも「はやて」が主力でした。

「はやて」の転機は2013(平成25)年3月のダイヤ改正です。E5系の増備が進み「はやぶさ」は国内最高速の320km/h運転を開始。赤いE6系の「スーパーこまち」がデビューし、「はやぶさ」と併結運転を始めます。東京~新青森間の「はやて」のうち4往復が「はやぶさ」に変更されました。このダイヤ改正以降、かつて「やまびこ」が「はやて」に変わったように、「はやて」が「はやぶさ」に置き換えられていきます。

 長距離タイプの列車を「はやて」に譲った「やまびこ」は、東北新幹線の中距離タイプとして現在も一定の勢力を維持しています。しかし、長距離速達タイプだった「はやて」は「はやぶさ」に役目を譲り、居場所を失っていきました。「はやぶさ」は速達列車として、他の東北新幹線列車よりも高い特急料金を設定しているため、「はやて」から「はやぶさ」への置き換えは、利用者から見れば実質的に料金値上げ、JR東日本から見れば収入増が期待されました。

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