ここから本文です

夏のドイツのアウトバーンは大渋滞。その理由は?

9/15(土) 19:06配信

carview!

バカンスになる8月にまとめて道路工事

今年もお盆の前後には帰省ラッシュとUターンラッシュで、高速道路上は各地で数十キロの大渋滞が発生し、巻き込まれて大変な思いをした人も多いかと思うが、夏場の行楽シーズンに道が混むのはドイツも同様で、特に長期間のバカンスを楽しむ人が多い8月のアウトバーンは、移動時間が全く予想できなくなる。

>>夏のアウトバーンの様子<<

アウトバーンが混雑するのは、多くのドイツ人がクルマでバカンスへ行くのも大きな理由のひとつだが、原因はそれだけではない。8月のドイツは道路工事が多い事や、ヨーロッパ中からドイツへクルマが流入することが、混雑に拍車をかけているのである。

ではなぜドイツでは8月に道路工事が多いのか。日本では、年度末となる毎年2~3月に工事が多いというイメージがある(実際には分散している)が、ドイツでは8月に交通規制を伴う工事が増える。8月には数週間、長い人ではまる一ヶ月も休暇を取る人が多いため、ビジネスがストップしてしまう企業が多い。そこでドイツ政府は、8月であれば交通に多少支障をきたしても、国全体の経済に与える影響が少ないと判断し、多くの道路工事が行われるのである。

ドイツは有料化を目指しているが目処は立たず

バカンスに向かうキャンピングカーも増える。ドイツをはじめとしたヨーロッパ諸国では、日本とは比べものにならないほどキャンピングカーが普及している。ちょっと郊外の住宅地に行けば、敷地内にキャンピングカーが停まっている家もごく当たり前だ。自走式だけでなく、トレーラータイプも多い。国内の保有台数は自走式とトレーラーを合わせると100万台を超える。

これらが一気に公道に繰り出すのだからたまらない。しかも、8月のアウトバーンには、オランダやベルギー、フランス、スペイン、イタリア、スイス、オーストリア、チェコ、ポーランド、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドなど、周辺諸国のナンバープレートを着けた車両が無数に流入してくるのだ。

8月がバカンスシーズンなのは、ヨーロッパ諸国はどこも同じである。キャンピングカーが一般的である事も同様だ。そして北ヨーロッパの人は太陽を求めて南へ、南ヨーロッパの人は涼を求めて北へ向かう傾向があり、その時にドイツを通過するのである。

なぜドイツを通るのかというと、ドイツのアウトバーンは、約1万3000kmのネットワークがドイツ全土を網の目に走っていて、周辺諸国との接続が良い事に加えて、何km走っても無料だからである。だから国境を越えてヨーロッパを移動するのにこれ以上便利な国はない、というわけだ。

大きく、重く、走行ペースが上がらないキャンピングカーに加えて、ドイツの道を走り慣れていない外国人ドライバーが溢れ、しかも工事が集中する8月のアウトバーンは、まさにカオスの様相を呈するのである。渋滞が国境を越えて繋がるのもざらだ。

2016年以降、ドイツ政府はアウトバーンの有料化(大型商用車は既に有料)を目指している。しかし、実施方法に問題があるとして欧州委員会に止められており、実施時期の目処は立っていない。もし有料化されれば、状況に変化があるかもしれないが、当面はなさそうである(この話はまた別の機会に解説する)。来年以降、8月にドイツ旅行をする際には、レンタカーではなく、鉄道(こちらも問題が無いとは言えないが)での移動がお勧めだ。

(ジャーナリストコラム 文:竹花寿実)
----------
竹花寿実(たけはな としみ):モータージャーナリスト
自動車情報ウェブサイトの編集者を経て2010年に渡独。8年にわたりドイツ車とドイツの自動車業界を中心に取材し、国内外のメディアに寄稿。2018年7月に帰国し、独自の視点でクルマとその周辺に関して発信している。

最終更新:9/15(土) 19:06
carview!