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リーマン・ショック10年。自動車業界、今そこにある危機

9/15(土) 11:58配信

ニュースイッチ

好調から転落

 世界が震撼(しんかん)したリーマン・ショックから15日で10年。米国発の信用収縮の流れは世界を駆け巡り、金融・経済危機を引き起こす。その余波は日本の産業界を直撃、急激な在庫削減と生産調整を迫られ、大きな痛手を被った。だが、再編や構造改革を経て、産業界はより強靱(きょうじん)な体質に生まれ変わり、現在の好業績を築く土台となった。産業界はリーマン・ショックからどんな教訓を得てどう生かしたのか。次の危機への備えは万全か。日本の基幹産業、自動車業界の取り組みを探る。

 00年代、世界トップの自動車市場だった米国では日本車販売が絶好調だった。円安の追い風もあり、日系各社の事業戦略は米国に偏重した。「米国向けモデルの“二番煎じ”を新興国に投入するケースも散見された」(ナカニシ自動車産業リサーチ代表兼アナリストの中西孝樹氏)。

 そうした中、リーマン・ショックが襲い、需要は激減。1700万台超えだった米新車市場は09年には1000万台まで下落する。トヨタ自動車や日産自動車、マツダは当期赤字に沈み、米ゼネラル・モーターズ(GM)、米クライスラーは法的整理に追い込まれる。

 市場環境が激変し、日本メーカーが生き残るには米国への“一本足打法”から脱却する必要があった。日本メーカーは先進国に加え、中国や東南アジア、中南米の新興国ニーズに沿った自動車を開発し、各地で柔軟に生産する「真のグローバル化」にかじを切った。

 ただ、米国だけでなく新興国も同時に攻める日本メーカーの新戦略では開発が複雑化してしまい、コスト増につながる。その課題解決になったのは「モジュール戦略」だ。車台や部品を共通化し、さらに機能別にまとめたブロックを組み上げて自動車を完成させる。独フォルクスワーゲン(VW)など欧州勢が先行してたが、日産は「CMF」、トヨタは「TNGA」と呼ぶ取り組みを加速させ、モノづくり全般の効率向上を図っている。

 またリーマン・ショックを経て「販売ボリュームを過度に追う経営から、質にも重きを置く経営への転換が進んだ」と三菱UFJモルガンスタンレー証券の杉本浩一氏は分析する。かつてトヨタは世界一の座をGMと競り合い、生産台数を毎年50万台規模で拡大していた。しかし09年に就任した豊田章男社長は、「会社の成長スピードに人材育成が追い付かない無理な拡大だった」と反省し、「もっといいクルマをつくろうよ」と繰り返すようになった。

 マツダやSUBARU(スバル)といった中堅メーカーもブランドを磨き上げて成長した。

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最終更新:9/15(土) 11:58
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