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社説[沖縄県知事選 子どもの貧困対策]未来照らす具体性問う

9/15(土) 13:25配信

沖縄タイムス

 これまでの知事選ではほとんど語られなかった「子どもの貧困対策」が、今回の知事選で争点の一つとなっている。

 基地や経済の陰に隠れがちだった貧困問題が主要テーマに浮上したのは、沖縄の子どもの相対的貧困率が29・9%と、全国の2倍を超える状況であることが明らかになったからだ。

 この数字は2016年1月、県の実態調査によりはじき出されたもので、県民に大きな衝撃を与えた。と同時に見えにくいといわれた貧困が可視化され、「県子どもの貧困対策計画」や民間の子ども食堂設置の動きなどへとつながった。

 知事選は安倍政権が支援する佐喜真淳前宜野湾市長と、翁長雄志前知事の後継として「オール沖縄」勢力が推す玉城デニー前衆院議員との事実上の一騎打ちだ。

 佐喜真氏は「1人当たりの県民所得を全国並みの300万円まで引き上げ、子どもの貧困の撲滅を目指す」と主張する。子どもの保育料や給食費、医療費の無償化も掲げている。

 一方の玉城氏は「子どもの貧困対策を最重要政策として取り組み、県の貧困対策計画の着実な実施」を訴える。中高校生のバス通学無料化、子育て世代包括支援センターの設置も目指す。

 どちらも魅力的な政策には違いないが、有権者が知りたいのは、その具体性と実効性である。

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 佐喜真氏は政策発表の記者会見で、子どもの保育料や給食費などの無償化の財源として、米軍再編交付金を例に挙げた。

 再編交付金は基地受け入れの見返りとして政府が支払うものだ。辺野古新基地建設についての是非を語らないまま再編交付金を持ち出すのはフェアとはいえない。しかも再編交付金には10年という期限がある。その後はどうするつもりなのか。

 玉城氏が着実な実施を掲げる貧困対策計画について、県は先日、取り組み状況を公表した。盛り込まれた34指標のうち25で改善が見られたものの、大学等進学率や高校卒業後の進路未決定率など五つは後退という結果だ。

 県の高校生調査で明らかになったのは、経済上の理由から大学進学を諦める生徒の姿だった。計画の推進に必要なもの、足りないものについても語らなければならない。

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 深刻な子どもの貧困の根っこには、沖縄戦による荒廃や米軍統治下における法制度の不備がある。

 本土との格差を是正しようと始まった沖縄振興計画も社会資本の整備や産業振興に重点が置かれ、教育や児童福祉といった子どもへの視点が薄かった。

 沖縄は出生率日本一の「子宝の島」だ。だからこそ社会の宝である「子どもを大事にする島」を目指すべきだ。

 どうすれば子どもたちの未来を明るく照らすことができるのか。次期振計も含め、「灯台」としての政治の役割を競い合ってもらいたい。

最終更新:9/15(土) 15:15
沖縄タイムス