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「地元の山を次の世代に」=林業の担い手、復興への思い―厚真町・北海道地震

9/16(日) 16:40配信

時事通信

 「こんなに崩れているんだ」。

 北海道地震で最大震度7を観測した厚真町では、いたるところで土砂崩れにより茶色の山肌がむき出しになり、山の景色が一変した。同町で林業に携わる丹羽智大さん(31)は、先行きの見えない現状に不安を感じつつも、林業の復興への思いを強くしている。

 丹羽さんは地震後、停電でテレビも見られず、全く状況がつかめない中で、新聞に掲載された山の惨状を写した写真を目にし衝撃を受けた。「もうぼうぜんとした」。インターネットで国土地理院の災害情報を確認したところ、発生の2日前まで山仕事をしていた同町幌里地区の山も甚大な被害が出ていた。

 面積の約7割を森林が占める厚真町は、林業などの担い手育成の取り組みを進めてきた。亡くなった祖父の代から実家が林業を営んできた丹羽さんも約5年前に町に戻った。

 祖父たちの代が植林したカラマツが、樹齢約50年の収穫期を迎えていた。この2年で道内外から30代の2人が同僚として新たに加わり、若返りも図られてきたさなかに地震に見舞われた。

 林道は土砂崩れで寸断され、被害の全容はいまだ分からないまま。「今は仕事ができるような状況ではなく、先行きの見通しも立たない」と丹羽さん。それでも被害のなかった山で仕事ができる見込みもあるといい「なんとかみんなで一緒にこの危機を乗り切りたい」と力を込める。

 同町産業経済課で林業担当の宮久史さん(38)も「林業はバトンリレー。次の世代がどういう森を見られるかは、地震のあったこのタイミングでバトンを持っている私らの責任だ」と語る。

 祖父たちがそうしてきたように「1本1本、これから木を植えて、地元の山を次の世代につないでいきたい」。丹羽さんはそう話し、前を向いた。 

最終更新:9/16(日) 16:45
時事通信