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市場規模は12兆円! デジタル・非デジタルの「両輪」で成長続けるコンテンツ産業

9/16(日) 7:00配信

SankeiBiz

 デジタルコンテンツ協会が国内のコンテンツ市場について調査した「デジタルコンテンツ白書2018」がまとまった。2017年のコンテンツ産業の市場規模は、インターネット広告やオンラインゲームの運営サービスの売り上げが大きく増え、雑誌や新聞といった紙媒体の落ち込みをカバーして総額12兆4859億円となり、前年から1.4%増加した。プラス成長は6年連続。今後も紙媒体の減少傾向は続きそうだが、全体のデジタル化率は69.6%で7割近くまで伸びてきており、電子書籍や動画配信といった分野の伸長と、非デジタルながらもライブエンターテインメントの活況を受け、成長していく可能性が高そうだ。

 ■コンテンツ別では電子書籍・オンラインゲームが高い伸び

 2017年のコンテンツ産業をコンテンツ別に見ると、動画が4兆3718億円で前年比0.2%減とほぼ横ばい、静止画・テキストは3兆4185億円で同4.5%減と、雑誌収入、書籍販売、新聞社総売上といった紙媒体のダウンを反映して落ち込んだ。電子書籍は2213億円で前年比13.8%増を記録しており、紙媒体の低落をどこまで吸収できるかに関心が集まりそう。ゲームは2兆1313億円で前年比10.4%増。内訳ではオンラインゲーム運営サービス売り上げが1兆4256億円で同13.4%増と高い伸びを見せており、ゲーム産業に起こっているゲームアプリへのシフト等を反映した形となった。音楽・音声は1兆3438億円で前年比2.7%減。ネットワーク配信売り上げが伸びる一方でDVDセルやCDレンタルといったパッケージ分野が軒並み低下した。

 ■メディア別ではネットワーク市場が大幅伸長

 メディア別で見た場合は、パッケージ市場が3兆9686億円で前年比5.1%減となった一方で、ネットワーク市場は3兆2458億円と同14.0%増の大幅伸長。オンラインゲーム運営サービスや動画配信の伸びに加え、インターネット広告が1兆2206億円で同17.6%増と拡大して市場を支えた。インターネット広告の増加額は1828億円でオンラインゲームの1682億円を上回り、2017年の増加額ランキングで1位。放送は3兆6218億円で同0.5%減。依然として規模は大きいものの、一部に動画配信サービスへのシフトが起こっているようだ。

 2017年のデジタルコンテンツ市場は8兆6844億円で前年比4.1%増。デジタル化率は69.6%まで来ており、前年から1.9ポイント拡大した。

 「デジタルコンテンツ白書2018」では、コンテンツの分野動向について、それぞれの分野の統計や、市場に詳しいアナリスト、ジャーナリストによる分析も掲載している。このうちゲーム産業は、ニンテンドースイッチの発売によって家庭用ゲーム機のハード市場が2017年は1924億円となり、2016年の1267億円から大きく増額。ソフト市場もニンテンドースイッチ対応ソフトやプレイステーション4対応ソフトが伸び、携帯型ゲーム機向きのニンテンドー3DS対応ソフトの落ち込みを埋めて、2016年の1880億円から2017年は1942億円へと拡大した。

 ■各市場の動きと今後への期待は

 デジタルコンテンツ白書でゲーム市場の項目を担当した、ゲームアナリストでインターラクト代表取締役の平林久和氏は、「ニンテンドースイッチの2年目以降は任天堂以外の集団が開発したソフト、特にインディーゲームの動向は見逃せない」と、一般に言われているタイトルの出尽くし感を否定。「無名の開発者の多くがニンテンドースイッチのソフトを現在開発中であり、コンテンツビジネスの台風の目となる可能性がある」と分析して、今後の伸びに期待を見せている。

 オンラインゲーム市場については、日本オンラインゲーム協会(JOGA)によるJOGAオンラインゲーム市場調査レポート2018の数字として、2017年の国内オンラインゲーム市場規模を1兆3603億円とし、このうち1兆2388億円がスマートフォン&タブレットによるものと紹介している。項目を担当したJOGA事務局長の川口洋司氏は最近の動向としてブロックチェーンとゲームの連動、eスポーツビジネスの始動などを挙げた。

 マンガ市場はマンガ産業アナリストの中野晴行氏が担当。紙の雑誌や単行本の落ち込みを紹介しつつ、2017年度(2017年4月1日~2018年3月31日)の電子コミックが1845億円となって「はじめて、電子版単行本が紙版単行本を上回った」と、インプレス総合研究所の調査をもとに指摘している。ただ、「電子版マンガ雑誌が前年比116%の36億円と頭打ちになっているのが気にかかる」とも。紙の雑誌を電子に置き換えて提供しても、作品単位で読んでいくWebマンガ読者のニーズにマッチしていない可能性があることが理由。一方で、スマートフォン向けに配信されるマンガアプリは好調とも指摘しており、「LINEマンガ」「comico」「マンガワン」といったマンガアプリの情勢を紹介している。

 アニメーションはジャーナリストの数土直志氏が担当し、日本動画協会の調査をもとにアニメ産業の売り上げが2016年に2兆9億円となったことを紹介。「成長を牽引するのは海外だ。全体のうち7676億円が海外消費、3年前の2013年には2823億円だったから、急成長していることになる」と書いている。Netflixなど配信ネットワークの拡大が貢献したようで、この傾向は続きそう。音楽プロデューサーの山口哲一氏が担当した音楽市場については、ストリーミング市場への移行が徐々に進んでいることが指摘されている。

 城西国際大学メディア学部招聘教授/学部長の掛尾良夫氏による映画の項目では、映画祭で表彰は受けるものの興行面では厳しいインディペンデント映画の状況が指摘され、「現在のインディペンデント映画の活況は個人の頑張り頼みである。しかし、この状況が続けば、インディペンデント映画製作の現場に未来はない」と書かれている。これに関して、2館から始まった興行が100館を超え、観客動員数も100万人を突破した上田慎一郎監督の「カメラを止めるな!」の大ヒットが、2018年以降のインディペンデント映画にどういった影響を与えるかが注目されそうだ。

 ■“体験”求めて非デジタルのライブ市場も伸び

 非デジタル分野ながら“体験”を求める人たちのニーズに応えて伸びているのがライブエンターテインメント市場。「デジタルコンテンツ白書2018」では、ぴあ総研の調査を取り入れ2017年の市場を5151億円と集計。2016年の5015億円から伸びていることを紹介している。内訳は音楽が3466億円、ステージが1685億円。

 ぴあ総研所長の笹井裕子氏は、ポップス分野は「2016年に続くポール・マッカートニーの再来日も評判を集めた。国内公演は“アイドル”“ベテランアーティストの活躍”、“アニメ関連ライブ”という、ここ数年間のトレンドの延長線上で2017年も推移した」と分析。アニメ関連では「ゲームやアニメ・マンガの舞台化=2.5次元ミュージカル作品もますます増えている」と書いており、これらのトレンドは2018年も続きそうと指摘している。会場が足りない問題や、チケットの高額転売問題なども残るが、解決へと向かう動きもあってライブエンターテインメント市場の活況を後押ししそうだ。

最終更新:9/16(日) 7:00
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