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イージス護衛艦「あたご」の新たなる能力と韓国の新型潜水艦KSSlll「島山安昌浩」

9/16(日) 7:00配信

FNN PRIME

「あたご」について日米で微妙に異なる発表

弾道ミサイル対処能力を付加するための改修を実施したイージス護衛艦「あたご」は、防衛省の発表によると、現地時間9月11日、ハワイ・カウアイ島沖において、SM-3ブロック1Bの発射試験を実施、弾道ミサイル標的の迎撃に成功した。

【画像】SM-3ブロックIIAなど

現地11日22時37分、カウアイ島の米海軍ミサイル発射試験施設から、この試験を支援する米軍が標的である弾頭分離型短距離模擬弾道ミサイルを発射。イージス護衛艦「あたご」がSM-3ブロック1Bを発射。大気圏外において標的に命中させたのである。

「SM-3ブロック1B TU」とは

一方、この迎撃試験に関わった、米ミサイル防衛局は、「あたご」から発射された迎撃ミサイルを「SM-3ブロック1B TU(スレット・アップグレート)」と発表した。この“TU”は、何を意味するのか。

海幕広報室や米ミサイル防衛局に問い合わせると、この「SM-3ブロック1B TU」は、発達する敵弾道ミサイルの脅威に合わせて、ソフトウェアを発展させたものであるという。

詳細は不明だが、SM-3ブロック1Bの迎撃弾頭は、もともと、二波長赤外線センサーを持ち、標的の弾道ミサイルや、そこから分離した弾頭を捕捉。位置や方向を調整する複数の小型の噴射口から噴射して、標的の飛んでくるコースを予測、待ち構えるようにして、敵弾道ミサイルやその弾頭に激突、破壊する。

しかし、北朝鮮は、短距離弾道ミサイルであったスカッドの弾頭に小さな動翼を付けた弾道ミサイルを登場させており、飛翔の途中で、コースを変更する可能性も出てきている。

このようなミサイルに対処するためには、迎撃ミサイルも機敏に標的を捕捉し、迎撃コースを変更しなければならない。そこで、ソフトウェアのアップグレードで、赤外線センサーの標的識別が速くなり、さらに、位置や方向の調整の時間も短縮し、機敏な対応を可能にしたというところだろうか。

イージス護衛艦「あたご」の新能力

さらに「あたご」には、米国以外の艦船では初めて、「CSL:コモン・ソース・ライブラリー」を搭載したとイージス・システムのメーカーが発表した。CSLは米海軍がすすめている、ソフトウェアやデータベースの共通化の重要な基盤となる構想で、これによって、迅速なソフトウエアの開発が可能になるとしている。

正確な説明は難しいが、例えば、インターネット・チャンネルの映像や番組は、スマートフォンやPC、さらに最近は、テレビ受像機で視聴できるようになっているが、これらの機材は、メーカーや機材の種類によって、OS(基本ソフト)が異なるため、視聴するためのアプリも、異なるOSに対応するよう、手間を掛けて開発する必要があった。しかし、OSを統一すれば、そのような必要はなくなる。

このため、まず、イージス艦用に開発されたのが、CSLだが、米海軍のイージス巡洋艦やイージス駆逐艦、それにイージスアショアに留まらず、LCS(沿海域戦闘艦)、さらには、米沿岸警備隊のカッターにまで、搭載されるようになったという。

これによって、今後は、異なる装備の種類ごとに必要だったソフトウェアのアレンジが不要となりそうだ。このことは「あたご」には、米軍で開発される新しいソフトウェアのアレンジを待たずに、搭載可能となるかもしれない。
現在の日本政府の概算要求では、「あたご」及び、その同型艦の「あしがら」には、高く飛ばして、手前に落とすロフテッド軌道を飛ぶ弾道ミサイルを迎撃するためのSM-3ブロックllAの搭載を予定しているが、それを制御するため、イージスBMD5.1というシステムを開発中。

このイージスBMD5.1では、SM-3ブロックllA迎撃ミサイルの発射管制、誘導だけでなく、他のイージス艦が発射したSM-3迎撃ミサイルを誘導する「遠隔交戦能力」が付くことになっているが、「あたご」では、イージスBMD5.0または、5.0CUの改修版が搭載されるため、SM-3ブロックllAの発射・管制はできても、遠隔交戦能力は発揮できない。

だが、CSLの搭載により、「あたご」は、将来、物理的には、本来のイージスBMD5.1、または、その発展型の搭載が可能性が残されるのかもしれない。

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最終更新:9/16(日) 7:00
FNN PRIME