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「大浦天主堂下」停留場の「下」は不要? 長崎の路面電車、13停留場を一挙改称のワケ

9/16(日) 7:11配信

乗りものニュース

周辺施設名の変化も停留場名に反映

 2018年8月、長崎市内を走る路面電車の長崎電気軌道で、13カ所の停留場が改称されました。駅名や停留場名が改称されることは少なくありませんが、これほど一気に改称するのはなかなか珍しいことです。

【写真】「大浦天主堂」、バス停名は「下」がついたまま…

 改称の目的は利用者の利便性向上です。長崎電気軌道によると、沿線の観光施設名などを停留場名とすること、停留場名と現況との乖離(かいり)を解消すること、乗り場が分かれている同名停留場を別の停留場として区別し、混乱を解消するといった目的があるといいます。たとえば、交差点を挟んで存在した「西浜町」「西浜町(アーケード入口)」停留場は、停車する系統も異なることもあり、後者が「浜町アーケード」に改称されています。

「停留場名と現況との乖離」というのは、たとえば「公会堂前」停留場の由来となった長崎公会堂が2015(平成27)年に閉館し、現在は市民会館となっていたり、「市民病院前」の市民病院も2017年にメディカルセンターへ改称されていたりする、といったことです。いずれも今回、停留場名が「市民会館」「メディカルセンター」に改称されて現況が反映されました。

 この2件についてはもっと早く変更されてもよかったくらいですが、停留場の名称は、「その施設そのものに行く人」だけのためではなく、地域の目印としての役割も担っていますので、改称には慎重にだったのかもしれません。

「大浦天主堂下」は「大浦天主堂」に むしろ実態と乖離?

 今回の改称で最も重要視されているのは、「沿線の観光施設を停留場名とすること」でしょう。長崎電気軌道の担当者によると、これはおもに、観光客など「長崎市に不慣れな人」へ向けた改称とのことです。

 長崎市の主要な観光地のうち、「出島」「思案橋」は、そのものズバリの停留場名が以前からありましたが、「平和公園」「原爆資料館」「めがね橋」「新地中華街」が今回の改称にともなって新たに採用されています。改称前はそれぞれ「松山町」「浜口町」「賑橋」「築町」でした。

 停留場の名前に採用されると、その施設名の拡散効果も見込まれます。たとえば、1系統と4系統の終点だった「正覚寺下」は、特に行先名に使われることもあり、長崎市に縁のある多くの人が「正覚寺に行ったことはなくても、存在を知っている」状態でした。今回、この停留場は「崇福寺」に改称されています。

 さらに、元の名前を生かしつつ、一部分だけ改称したものもあります。「長崎大学前」「浦上車庫前」「大学病院前」「諏訪神社前」の4か所は、いずれも「前」が外されました。そして、「大浦天主堂下」は「下」がなくなり「大浦天主堂」に改称されています。

「大浦天主堂」停留場は大浦天主堂の最寄りであることは間違いないのですが、現地までは「グラバー通り」という急坂を登る必要があり、大浦天主堂「前」とは呼べない位置にあります。そのため、従来は「下」という表現を使い、「前」よりも少し離れているニュアンスを表していたと考えられますが、それでも今回、「下」も「前」と同様に外されることとなりました。

 このことについて、地元の人からは「停留場からそれなりに歩くのに、まるで目の前かのような印象を受けてしまう」という意見もあるそうです。万人にとって「これが最適」と思う停留場名を選択するのは難しいのかもしれませんが、改称によってわかりやすくなったと好評を博すのか、さらなる改善が求められるのか、注目です。

 ちなみに、路面電車の停留場は「大浦天主堂」に改称されましたが、すぐ脇にある長崎バスのバス停は「大浦天主堂下」のままです。運営会社も違いますし、バスの場合は路面電車と違って、おもな利用層が地元客だからかもしれません。

乗りものニュース編集部

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