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人を怖がって吠える元野犬 根気よく接し、家族の一員に

9/16(日) 10:04配信

sippo

 神戸市北部にある山の中で、約40匹の野犬が群れをなしていた。通報を受けた保健所が捕獲に乗り出す直前、犬たちは民間の団体に保護された。

【写真特集】家族の一員になった元野犬ティナ

 六甲山地が連なる神戸市北部。そこに約40匹の野犬が群れをなして住んでいた。最初は数匹だったかもしれないが、近隣の建設業者の人が餌を与えるうちに、子犬が産まれ、数が増えていった。善意で餌を与えていたが、不妊手術までする余裕はなかったという。

 犬たちのすみか付近は登山客やハイカーも訪れることがあり、ハイキングコースに犬が出没しているという通報があったため、保健所が捕獲に乗り出すことになった。それを知った動物保護団体「ARK」が、保健所に連絡し、急ぎ保護に入ったという。数が多かったため、1日目に12匹、2日目に21匹と、捕獲は2日以上にわたった。その中の1匹がティナだった。

保護施設のボランティアに

 佐伯さんは、飼い犬のキキちゃんを失い、寂しい日々を送っていたという。会社と家とを往復するだけの毎日。何か動物に関わることがしたいと、なんとなくインターネットを眺めていた。そこで見つけたのが、保護団体ARKのボランティアだった。

「ARKは大阪の最北端、山中にあるのですが、もともと自然が好きだったので、ボランティアに行くことにしました。それに、ARKのホームページには、先代犬キキにそっくりの犬がいたのです。保護されている犬たちは自分の犬ではないけれど、触れ合える喜びも感じました」

 先代犬キキにそっくりの犬が、ティナだった。ARKで最初に会ったのは、2016年2月。人に吠えるので、保護犬を見に来る人には人気がなかったという。佐伯さんはボランティアとして、ティナの散歩をしたり、ブラッシングをしたりして、吠えて飛びつくティナとの距離を縮めていった。そして、7ヶ月後の9月、正式に家族として迎えることにしたという。

時間をかけて根気よく

 ティナは家に来てから1週間、ご飯を食べなかった。佐伯さんはどうなることかと案じたが、3日目には、仕事から帰ると尻尾を振って出迎えてくれたそうだ。

「とにかく怖がりで、車や自転車、バイクなどに出会うと、おっかなびっくり。信号待ちをしている時、胸に手を当ててみると、心臓がドキドキしていて。散歩が楽しくないなんてどうしよう。都会に連れてきて、本当に良かったのか、と思いました」

 ティナは山の中で生まれ育ち、その後も人里離れたシェルターで暮らしていたため、無理もなかった。すでに4歳だったが、出会うものすべてが知らないものばかりだったのだ。佐伯さんは、ティナを抱いて散歩をし、根気強く人間の社会に慣らしていった。いまではすっかり家族の一員になっている。

 これから保護犬を引き取ろうと考えている人に向けて、佐伯さんはこう言う。

「すぐに“この子にする”と決めるのもいいけれど、ひと目見ただけでは、なかなか犬の本当の性格は分からないもの。時間をかけて相性を見極める方法もあります。また、雑種や飼うのが難しそうな犬も、最初から拒絶せず、少し枠を広げて選択肢に加えてもらえたると嬉しいです」

sippo(朝日新聞社)

最終更新:9/16(日) 10:04
sippo