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家に迎えた最初の夜 元野良猫は取りつかれたように鳴いた

9/16(日) 14:30配信

sippo

 近所に暮らしていた野良猫を保護し、自転車で動物病院へ。その後、初めて自宅に迎え入れた。猫に「ぽんた」と名前を付けた。

【写真特集】わが家にやって来たぽんた

   ◇   ◇

 ぽんたは、ひととおり家の中の探検を終えると、ツレアイの部屋のベッドの下にもぐりこんだ。

 ツレアイと私は、仕事の関係上生活のペースが異なるため、部屋は別にしている。写真の仕事をしているツレアイは、ライトを立てるためのスタンドや三脚などを入れた大きな布製のバッグをいくつかベッドの下に置いていた。ぽんたは、その上にうずくまった。

 目をまん丸に開いてこっちを見ている。平らでもなく、ゴツゴツした場所で居心地が悪くないかと思ったが、動く気はないらしい。とりあえず気に入った場所をみつけたようなので放っておくことにした。私は台所で遅めの昼食をとり、仕事をするために自室でパソコンに向かった。

 ときどきぽんたの様子を見に行くと、まん丸だった目は小さくなり、目を細めてトロンとした表情で香箱座りになり、やがて、頭を自分の前脚にのせて丸くなった。

 夕方、「ぽんた、来た?どうしてる?」と興奮しながらツレアイが帰宅した。自室でぽんたを見つけると、「あー商売道具の上で寝てる。まあ、いいか」と苦笑いをした。

 私たちが部屋を出て行こうとすると、ぽんたはベッドの下から出てきた。両前脚をぐーんと伸ばし、顔を上げて「なー」と鳴いた。よかったよかった、元気そうだね、と言って頭をなで、足にまとわりつくぽんたと一緒に台所へ移動し、ドライフードと水を入れた容器を床に置いた。すると、待ってました、とばかりの勢いで平らげ、水を飲んだ。その後、ぽんたは私の部屋のクローゼットの奥に引き込んだが、人間が食事をしたあとに再び現れると、一緒にリビングのソファの上で横になったり、居眠りをした。

 さほど警戒することもなく、家に慣れたようでほっとした。しかし、ひとつ気になることがあった。

 トイレだ。

 「猫のトイレのしつけはそれほど難しくはありません。猫が床の匂いをかぎながらウロウロしたり、床をかくような仕草をしたら、オシッコのサイン。素早くトイレの中に入れれば、排泄するでしょう」ということが飼育書に書いてあった。確かに、日中、「サイン」を見せることはあった。だから指南どおり、用意していた猫用トイレの上に運んだのだが、すぐに出てしまった。あれはサインじゃなかったのかな、などと考えているうちに、気がつけば、夜も10時をまわっていた。

 家に来てから、まだ一回もオシッコをしていない。

 そのときだった。突然、何かに取りつかれたかのようにぽんたが鳴き始めた。

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最終更新:9/16(日) 14:30
sippo