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北海道震度7地震 観光「長い闘いに」 余震不安で客足戻らず

9/17(月) 1:01配信

産経新聞

 北海道で最大震度7を観測した地震で、観光への影響が深刻化している。余震への懸念から主に道外や海外からの客足が遠のいており、関係者からは「特効薬はない」との声も漏れる。地震発生から10日が過ぎた16日は3連休の中日となり、一部の被災自治体が食のイベントなどを通じて復興をアピールしたが、成果は今一つ。“観光大国”の姿を取り戻すには時間を要しそうだ。(中村翔樹)

 「宿泊予定の全員からキャンセルの連絡が入った日もあった」。20床のベッドがある札幌市北区のゲストハウス「Wagayado 晴」の代表、粕谷勇人さん(26)は苦笑する。

 ゲストハウスは地震当日の6日午後2時ごろには電気や水道が復旧。食料確保などのため7人のスタッフ総出で対応にあたっていたとき、鳴り始めたのがキャンセルを求める無数の電話だったという。

 当初は「そちらに行く交通手段がない」という「仕方がない理由」(粕谷さん)が大半。しかし、一時閉鎖されていた新千歳空港や高速道路などの回復が進んだ先週以降になっても客足は戻らなかった。外国人や、北海道以外の地域に住む日本人を中心に、余震への心配が根強いという。

 ベッドの稼働率は現状50~60%。2年前のオープン以来、観光需要が高まる9月は90%台で推移してきただけに、影響は顕著だ。札幌市内に30軒ほどあるゲストハウスはどこも同程度の落ち込みだといい、粕谷さんは「今すぐ改善できるものではない。細く長く、正しい情報をしっかり伝えていく努力を続けていくしかない」と話す。

 地震発生以降、道内の宿泊施設の予約をキャンセルしたのは延べ94万2千人(15日現在)で、飲食などを含む観光全体の損失額は推計約292億円に上っている。

 札幌市内で開かれるイベントでも影響はみられる。地震のため、当初予定から8日遅れで15日に開幕した「さっぽろオータムフェスト2018」。道内全域から約300店が出店する最大規模の食の祭典だが、節電に配慮し、平日の開催時間は当初予定より前後の3時間を短縮して正午~午後7時半とした。さらに、会場で使う電力は約20台の自家発電でまかなう配慮もみせる。

 初日の15日の人出は、前年より約1割減少した。特産のうずらの卵を使ったプリンなどを提供する室蘭市の食品加工会社「室蘭うずら園」の高橋百合さん(50)は「いつもよりも客足は少ない。復興に向けてアピールしたい」と訴える。

 北海道観光振興機構の大西雅之副会長も「計画停電の恐れはなくなったが、被害が大きかった地域もある。『絶対に安全』といえるかどうか、アピールの仕方が課題だ」と話した。

最終更新:9/17(月) 1:01
産経新聞