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マラソン2時間の壁を人類は破れるのか?キプチョゲの世界記録誕生理由とは

2018/9/18(火) 5:00配信

THE PAGE

 メンタル面でいうと、昨年5月にイタリアのモンツァ・サーキットで行われた『Breaking2』が大きい。複数のペースメーカーが交代で引っ張るなど、公認条件下ではなかったが、キプチョゲは5km14分07~17秒という安定したペースで進み、中間点を59分57秒で通過。終盤はペースダウンしたものの、当時の世界記録(2時間2分57秒)を2分32秒も上回る2時間00分25秒で42.195kmを走破しているのだ。

 今年5月に来日したキプチョゲを取材した際、公認大会でどれぐらいのタイムが出せそうか? という質問に対して、彼は「2時間1分です」と答えている。
『Breaking2』で記録に対する“意識の壁”が崩壊されたと筆者は感じた。
 そして、人類がサブ2(2時間切り)を達成するのはいつか? という質問には、「もう間もなくだと思います。私が切れるかわかりませんが、誰かが切るときが来るでしょう」と話している。今回の快走を考えると、本当に近い将来、2時間切りを果たすランナーが現れるのかもしれない。

 そしてシューズの進化もキプチョゲの走りをさらに引き上げている。
 彼が愛用しているのは、世界のマラソンを席巻しているナイキの厚底シューズだ。ベルリンで履いていたのは、9月上旬に一般発売されたばかりのズーム ヴェイパーフライ4% フライニットというプロダクト。キプチョゲの要望がフィードバックされており、「史上最強ランナー」をさらに速くするために開発されたシューズと言ってもいい。設楽悠太、大迫傑(27、ナイキ・オレゴン・プロジェクト)などもナイキの厚底シューズで好タイムをマークしてきたが、怪物が履いたときの“攻撃力”は凄まじいものがあった。

 ベルリンの快走もあり、4年連続となるワールドマラソンメジャーズの年間チャンピオンが濃厚な男は、「競技を楽しむことを非常に大切にしています。そして、しっかりと自己を規律する。さらにプライオリティ(優先順位)をクリアにして、それに従って動くことです。そうすれば、良いトレーニングができます。ランニングはいろんな人と一緒に楽しむことができますし、身体にも良い。ずっと続けたいですね。走ることは、『人生』のようにとらえています。今後もしっかりとやっていきたい。それだけです。自分は走ることが好きですから」と自身の強さについて話している。
 
 現在33歳のキプチョゲが2020年の東京五輪にやってくるかはわからない。しかし、彼が走る度に、新たな伝説が生まれることは確かだろう。

(文責・酒井政人/スポーツライター)

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最終更新:2018/10/1(月) 13:24
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