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閉校利用の外国人技能研修所 実習生と地域、交流模索 若者滞在、活気も 運営多忙で“接点”激減 佐賀

9/18(火) 15:51配信

佐賀新聞

 外国人技能実習生の学びの場として、佐賀県多久市東多久町の納所地区に開設され約1年半になる研修所。ビワやミカン畑が広がる人口1千人ほどの集落に、東南アジアなどからの若者30人ほどが入れ替わり滞在している。元気にあいさつする実習生も多く、地域からは「活気が戻った」という声も聞かれるが、実習生の増加に伴う運営側の多忙化で交流は停滞し、理解を深める機会はつくれずにいる。

 実習生は、広島市の管理団体が研修所の近くに寮として借りたアパートと一軒家で男女別に過ごす。滞在は1カ月ほどで短期だが、通学や買い物などで住民と接する機会は少なくない。納所区長会長の横尾昌子さん(63)は「顔を覚えてもすぐにいなくなってしまうけれど、名前で呼び合うくらい住民と打ち解ける子もいた」と話す。

 研修所が開設された昨年4月、1期生としてベトナムとフィリピンから男女22人が入所した。近所の60代女性は振り返る。「小さな集落に突然、外国人がたくさん来て戸惑った」。こうした住民の不安を和らげるため、管理団体は昨年、地区の運動会や秋祭り、老人会の催しに実習生を参加させた。地元のまちづくり団体も農作物の収穫や加工体験を通して交流を重ねた。

 ただ、来日する実習生の数や、受け入れを希望する企業の増加に伴って研修所の運営が過密になり、今年に入ってからは住民との交流の機会は激減している。

 来日した若い世代が地域社会に溶け込み、地域の側も理解を深める-。こうした時間は限られている。「言葉や生活習慣が異なる日本で、みんなちゃんと過ごしていけるか。ここでの講習だけでは正直、時間が足りない」。元中学校教諭で統括責任者の白木直人さん(66)=多久市=は、政府の受け入れ拡大方針に焦りも感じている。

 佐賀県によると、県内の在留外国人数は今年1月1日時点で5665人で、過去最多を更新した。技能実習生が2153人で最も多く、多久市では在留外国人153人のうち、実習生が95人で6割を占めている。

 制度を巡っては、発展途上国への技術移転という本来の目的よりも、深刻度を増す労働力不足を補う手だてにする側面がさまざまな業界で強まっている。

 実習生と交流し「お母さん」と慕われたまちづくり団体の挽地幸子さん(70)は「遠い国からやってきて、みんな一生懸命。ここを離れるとき、涙を流す子もいる。彼らの純粋な気持ちを大事にしてあげたい」と話し、適切な労働環境や待遇の確保を望む。

最終更新:9/18(火) 15:51
佐賀新聞

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