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豪雨被災書店の募金に恩返しを 義援金募る岡山いのちの電話協会

9/19(水) 23:11配信

山陽新聞デジタル

 「真備町の皆さんへ恩返しの気持ちをこめて、義援金を募ります」

 自殺などの悩み相談に応じる岡山いのちの電話協会(岡山市北区上中野)の事務局にある募金箱。メッセージとともに、ざるいっぱいの硬貨の写真が添えられている。

 設置したのは事務局長の草苅祐子さん(66)。きっかけは、西日本豪雨の直後、面積の約3割が水没した倉敷市真備町地区の書店からかかってきた一本の電話だった。

 「募金を受け取ってもらえませんか」

 声の主は宮脇書店真備店(同町川辺)のオーナー三宅誠一さん(66)=総社市。店は天井まで水に漬かり、書籍は全滅。手のつけようのない店内で途方に暮れていた三宅さんは、レジ脇の泥の中から透明な箱を見つけた。協会を支援するため、店に置いていた募金箱だ。

 協会の資金難を聞き、10年ほど前に設置。来店客から寄せられた浄財を毎年、協会に届けてきた。募金箱が濁流にさらわれなかったのは、お金を投じた人の強い思いが生んだ奇跡に思えてならず、「絶対に届けなければ」と感じた。箱の中にあった全硬貨1万1839円を協会に届けたのは、豪雨から10日余りたった7月19日。その後、店は7月末で閉めたが、現在、書籍販売を再開する手段を模索しているという。

 「何もかも失い、店の再建もままならないだろうに」。水で洗い流し、ざるに入ったままの硬貨を受け取った草苅さんは涙をこらえきれなかった。

 「真備町支援募金」と名付けた協会の募金箱。相談員約170人に協力を求めている。目標額は10万円。草苅さんは今、こう思っている。

 「ずっと協会を支えてくれた恩は計り知れない。1円でも多く、真備の人の手元に届けたい。今度は私たちが手を差し伸べる」