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“トランプ暴露本”で注目のスター記者から学ぶ「人心掌握術」

9/20(木) 7:40配信

ITmedia ビジネスオンライン

 これまでドナルド・トランプ米大統領に関する書籍は何冊も発売されている。『炎と怒り ――トランプ政権の内幕』(文藝春秋)、『熱狂の王 ドナルド・トランプ』(クロスメディア・パブリッシング)、『トランプ自伝 ―不動産王にビジネスを学ぶ』(筑摩書房)などはトランプ大統領を知る上で欠かせない本だと言える。

【ボブ・ウッドワードの“トランプ暴露本”『FEAR: Trump in the White House』】

 最近、新たなトランプ本が発売され、世界的に大変な話題になっている。それは『FEAR: Trump in the White House』。発行元の米大手出版社サイモン&シュスターは、予約段階で発行部数が100万部を超えたと発表している。超ベストセラーである。

 この本が他とは違う最大の理由は、著者が米国の敏腕ジャーナリストの1人であるボブ・ウッドワードだということだ。同著は、政治についてまったくの素人だったドナルド・トランプの大統領としての資質に疑問を投げかけ、トランプ政権がいかに混乱しているのかを明らかにしている。日本でも12月に翻訳版『恐怖の男 ――トランプ政権の真実』が日本経済新聞出版社から発売される予定。トランプと現政権を知るためには必読だ。

 ここでは内容について言及しないが、一点だけ、同著が明らかにしている衝撃の事実に触れておきたい。同著によれば、ある米政府高官はトランプが適当に公文書に署名をしてしまわないように、トランプの机から公式な文書を盗んで排除しているという。例えば韓国との自由貿易協定を完全に破棄する通知文書も、トランプの指示ですでに書面は作られていたが、アジア情勢や米軍の韓国駐留などについて何も理解していないトランプが署名してしまわないよう、ある政権幹部がトランプの机に置かれていた文書を抜き取って処分したのだという。しかもトランプはそのことにまったく気が付いていなかった。同著には、その署名のない文書の実物まで掲載されている。

 このエピソードだけで、トランプ政権の異常さが垣間見られる。他の詳細はぜひ同著を読んでいただきたい。

 実はこの『FEAR』を読んでいる間、ある根本的な疑問がずっと頭から離れなかった。それは、なぜ政権幹部などがウッドワードには口を開くのか、という疑問だ。米国にはウッドワードの属するワシントンポスト紙だけでなく、ニューヨークタイムズ紙、ウォールストリート・ジャーナル紙といった名だたる新聞社が存在するが、日々トランプ政権を取材し続けるこれらの新聞では読めない情報がウッドワード本にはふんだんに盛り込まれているのである。

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