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沖縄で暮らす人々の間に横たわる「境界」~沖縄・東京二拠点日記(第3回)

9/20(木) 3:34配信

DANRO

10年ほど前から、沖縄と東京の二拠点生活を続けている。沖縄のあらゆることを楽しみながら、沖縄で取材して原稿を書き、目の前で起きるいろいろな問題に直面して悩む。そんな日々の生活を日記風に書きつづる連載コラム。第3回は、沖縄と内地の人間の間に横たわる「見えない境界」のようなものについて少し考えてみる。(藤井誠二)

【写真】青い空が広がる沖縄の風景

沖縄と内地の「境界」をめぐる懊悩

【6月17日】 ジュンク堂書店・那覇店で、沖縄の出版社ボーダーインクの編集長の・新城和博さんと、社会学者の岸政彦さんのトークがあるというので聴きにいった。岸さんの新刊『はじめての沖縄』(新曜社)の刊行記念イベントだ。

ぼくが新城さんと知り合って10年以上。出会ったきっかけは忘れたが、彼がかつて編集・発行していた「Wander」という雑誌は、ぼくが「沖縄病患者」になった一つの原因になっているのはまちがいないと思う。並々ならぬ影響力を沖縄から発信してきた人物なのだ。

岸さんは『同化と他者化』(ナカニシヤ出版)以降、出す本が着実に版を重ねる売れっ子の書き手といっていい。前から親交があるが、実は僕が今度講談社から出す『沖縄アンダーグラウンド』の帯に推薦文を書いてもらった。

トークイベントで、岸さんは自著のことを「めんどうくさい本です」と切り出して笑いをとった。沖縄と内地の「境界」のようなことをずっと考えてきた、とも言った。「内地」の人間である自分が沖縄の何をどう書くんだと問われているような気がすると。

いわゆるリベラルな知識人系の人たちが沖縄のことを書くと、「かわいそうだけど、たくましい」などと過剰に沖縄を理想化して語りがちなことに、岸さんは嫌悪感を示す。その違和感は、ぼくも沖縄通いを始めてからじきに感じだした。

岸さんの指摘するところは、沖縄を表現しようとするとき、伝えようとするとき、伝え手が落ち込んでしまい、抜け出せなくなる陥穽のような部分でもあると思う。実は『沖縄アンダーグラウンド 売春街を生きた者たち』(講談社)は、ぼくの沖縄イメージの変遷を描いた本でもある。

岸さんは、沖縄を意味付けするのはやめたいけれども、ウチナンチュ(沖縄出身者)とナイチャー(内地出身者)の「境界」は考えざるを得ないと懊悩を話し続けた。かっこつけない彼の言葉が、多くの読者に受け入れられているのだと思う。

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最終更新:9/22(土) 10:52
DANRO

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