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CVIDは依然遥か彼方 しかし後戻りよりずっとましだ

9/20(木) 11:37配信

FNN PRIME

後戻りはしなかった

ほんの少し、それも言葉だけだが、今回も前進した。

19日の南北首脳会談で、道は遠いが、非核化と恒久平和がまたじわりと近づいた。
そう評価しても良いのかもしれない。

(画像)終戦宣言はどうなる・・・?

勿論、足りないものは山ほどある。例えば”申告”は無かった。

北朝鮮が既に保有する核物質の量や爆発装置の数、それらの保管場所や製造施設の在処、さらには製造ノウハウや部品の調達ルートなど、解明されなければならないものは非常に多い。そして、これらが解明されなければ、仮に”廃棄実行段階”に至っても本当に完全廃棄されたか否か、第三者には確認できない。”CVID・完全で検証可能で不可逆的な非核化”に向けて、北朝鮮による”申告”がまず必要な所以なのだが、それはまだ約束さえされていない。つまり、非核化作業の入り口は遠くに見えるようにこそなったものの、今回の首脳会談でも案の定そこには至らなかった。

だが、後戻りもしなかった。

終戦宣言も交渉の対象に含まれるだろう

日本時間の今朝4時過ぎに発表されたアメリカのポンペオ国務長官の声明によれば、“寧辺の核施設の廃棄”の暁には、アメリカとIAEA・国際原子力機関の査察官が監視することになると、少なくともアメリカ政府は理解しているらしい。

予断できないが、仮に、アメリカ側の専門家らが寧辺の諸施設を細部に亘ってつぶさにチェックすることになれば、これまでのプルトニウム生産量など北朝鮮の過去の活動が相当わかるのではないか。門外漢である筆者はそう期待する。

その“寧辺の核施設の廃棄”実現に向けて、ポンペオ国務長官の声明は「米朝関係を転換する為(to transform U.S.-DPRK relations)、アメリカは直ちに交渉を開始する用意がある。」と述べている。当然、終戦宣言も交渉の対象に含まれると理解できる。

また、アメリカの北朝鮮専門研究機関・38ノースによれば、今回、南北の軍同士による信頼醸成・緊張緩和措置に合意したことは大きな成果と評価できるという。

朝鮮半島で戦争が勃発するとすれば、北朝鮮の破滅に確実に繋がる核戦争ではなく、通常兵器による偶発的な衝突が拡大して全面戦争に発展するシナリオの方がより現実的である。今回の軍同士の合意は、約束通り実現すれば、その可能性を相当程度減じさせるという。

これらを考慮に入れれば、今回の南北首脳会談結果は、実は、そんなに悪くないのかもしれない。

CVIDは遥か彼方

ただ、何事も実行されなければ意味がない。これまでのところ、非核化関係作業で実行されたのは、核実験場の坑道の入り口の破壊とミサイル発射場の解体着手、核・ミサイル実験の凍結だけである。北朝鮮がちゃぶ台返しの名人であることを忘れてはいけない。

CVIDが依然遥か彼方であることに変わりはない。
だが、後戻りするよりずっと良い。首脳レベルの話し合いで非核化と平和を実現しようという機運が続く限り、戦争は起きない。制裁に綻びが生じ始めているのは許し難いが、今のところ、交渉の行方をじっと見守るしかない。

(執筆:フジテレビ 解説委員 二関吉郎)

最終更新:9/20(木) 11:37
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