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木陰とミスト 緑化ベンチで五輪涼しく 群馬大大学院 都内でバリアフリー対応の実証実験

9/20(木) 6:02配信

上毛新聞

 2020年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策に生かそうと、樹木とベンチが一体化したバリアフリー対応の「可搬式緑化ベンチ」の研究を続けている群馬大大学院理工学府のチームが、今月まで都内で実証実験に取り組んでいる。実験5年目となる今年は新たに開発したソーラーパネル搭載のベンチを設置したほか、車いす利用者の協力も得て使い心地を調査。2年後に迫った本番に向け、改良に力を入れる。

◎太陽光電力でコンセント備え 課題を洗い出し改良

 緑化ベンチは、樹木を植えた鉢植えを取り囲むように木製ベンチを配置したデザイン。体感温度を下げる人工の霧(ミスト)を発生する装置を取り付けてあり、直射日光を避けた木陰で休息できる仕組みだ。

 持ち運びができるのが特長。大会期間中だけ設置できるため、植栽工事が不要で管理や維持に関わる経費を節減できる。

 同大大学院の天谷賢児教授らが県森林組合連合会(前橋市)などの協力を得て12年に試作品を開発。東京都農林総合研究センターに注目され、14年から五輪に向けた実証実験を重ねて改良を続けている。

 今夏の実証実験には9台を配置した。うち1台は新開発したソーラーパネル搭載のベンチ。太陽光の電力でミストを発生させるほか、コンセントを備え、スマートフォンなどを充電できるようにした。

 8月には県せきずい損傷者協会の協力を得て、車いすや、つえの利用者に使い心地を試してもらい、バリアフリーへの対応度合いを調査した。

 車いす利用者の中には、まひしている部分が暑さを感じにくく発汗による体温調整が難しいため、多めのミストを必要とする人がいた。一方で、電動の車いすの場合は故障を恐れてミストを敬遠することも分かった。ミストで地面がぬれるため、滑る可能性もあり、周囲に注意を呼び掛ける必要性も感じたという。

 今月下旬まで来場者の使用状況を観察する。回収したベンチは今夏の猛暑や台風による傷み具合をチェックする。検証結果を踏まえて改良を加え、本番1年前となる来年夏に最後の実験に臨む予定。

 東京五輪・パラリンピックは7~9月に開催されるため、厳しい暑さから選手や観客を守るさまざまな手段が模索されている。天谷教授は「より実用性を高めて、五輪以降も需要が続くベンチに仕上げたい」と話している。

最終更新:9/20(木) 6:02
上毛新聞