ここから本文です

【FILTER インタビュー】“シンガロング+踊れる=多幸感”というテーマをかたちにした全10曲

9/20(木) 12:02配信

OKMusic

結成から8年、千葉県柏市出身の5人組バンドFILTERがついに1stアルバム『euphoria』をリリース。オーケストラルなアプローチと男女ヴォーカルを中心にメンバー全員で声を上げるシンガロングが作り出す躍動感と多幸感に満ちたサウンドを、メンバーたちは“全員参加型のフェスティバルサウンド”と呼ぶ。

FILTER インタビューのその他の写真

──アルバム『euphoria』を聴いて、エネルギッシュなバンドサウンドとアンセミックなコーラスに圧倒されました。こういう音楽を演奏するバンドが日本でもようやく現れた!と個人的にとても嬉しかったです。そんなFILTERがどんなふうに始まったのか、まず教えていただけますか?

豊方:2011年に僕が中心になって結成しました。その頃はもっと叙情派のエモという感じで、『euphoria』の壮大さだけを掬ったような音楽をやっていました。今のようにリズムの躍動が感じられるものはまだやっていなかったんですけど、その後、僕以外のメンバーが1周ずつ変わって、今のメンバーになったのが17年の2月で。最後にギターの高野が加わったんですけど、メンバーが変わるとバンドのキャラも変わるというか、リズムの躍動感を取り入れてもっと楽しい感じにできるんじゃないかって思って、ここ2年ぐらいでガラッとバンドのイメージを変えたんです。おっしゃっていただいたように僕も“こういうバンドは日本にいない。絶対いい!”と思ってやっているんで、気付いてくれる人がいてすごい嬉しかったです。

──ちなみにFILTERに加わった順番は?

木村:僕が2012年の3月か4月ぐらい。最初はサポートドラマーとして参加してたんですけど、“俺、きっとこのバンドに入るな”って気がしたから、その頃から曲作りにもめちゃめちゃ口出ししたり、勝手に物販を作ったりしてました(笑)。

葛西:その後にちょっと間が空いて、僕がサポートベースを経て2014年に入りました。

あベス:私がキーボードで入ったのが2015年ですね。

豊方:紅一点メンバーが変わるとバンドのキャラクターや音楽性も変わるというか、さっき言っていた壮大さが、あべスのキャラにフィットしなくて。だから、あべスの加入をきっかけに変わったところは大きいと思います。

──あべスさんの前にいたキーボードも女性だったのですか?

豊方:はい。ヴォーカルもやってもらっていて。キャラとしては楽しいと言うよりは上品で…あべスが上品じゃないってわけではないんですけど(笑)。要するにポップな感じではなかったんです。あべスがキャッチーなキャラだったので、バラードを歌い上げるよりもわちゃわちゃやっているほうが絵になると思って、当時僕が洋楽のTeam MeとかOf Monsters And Menとか、メンバーがいっぱいいてみんなで歌っているようなバンドを聴いていたので、誰がメインヴォーカルで誰がコーラスとか決めなくてもいいやと思って作っていた曲がちょうどフィットしたんです。そう思っていたら前のギターが抜けちゃって、最後に高野が入って。でも、それぞれにバンド経験はそれなりにあったから、そこからは早かったですね。みんなに“やってやろうぜ!”って気持ちもあって。

──メンバーそれぞれに影響を受けた音楽は同じなのですか? それとも違いますか?

豊方:きれいに違いますね。

木村:根はみんなパンクなんですけど。

豊方:唯一共通しているとしたらパンクだけ(笑)。僕もFILTER以前はずっとメロコアバンドをやってきたんですよ。そういうバンドをやりながら、さっき言ったTeam Meのようなバンドも聴いていたんですけど、その頃はまだ今みたいな音楽をどういうふうにやったらいいか、やり方が分からなかった。実はFILTERはディズニー音楽からも影響を受けているんですよ。

木村:僕はめっちゃディズニーランドが好きで、年間パスポートを持ってたくらいなんです(笑)。

豊方:2014年にリリースした1stミニアルバム『invitation to color』の壮大なエモをやりたいっていうのは、envy的な熱量でディズニー音楽をやるみたいな(笑)。“そんな音楽、他にないだろ!”と思ってました。envyをはじめ、叙情派のハードコアって大好きなんですけど“どうしてみんな、轟音でこんなに暗い音楽をやっているんだろう。轟音でハッピーでもいいじゃないか”ってところから始まって、“もっと突き抜けるにはどうしたらいいだろう? じゃあ、全員で歌おう。リズムも踊れるものしよう”ってところから別のベクトルで突き抜けるものを集めていったんです。

──それはすぐにかたちになったんですか?

豊方:結構苦戦しました。きれいにまとめすぎず、でもぐちゃぐちゃしすぎずっていうそのバランスが難しかった。躍らせたいけど、泣かせたくて。

高野:でかい音量でもやりたいし。

豊方:かつ壮大に(笑)。欲張りなんですよ。でも、今回の作品は結構いいバランスになっていると思います。楽しくて熱狂的で、音楽としてきれいなんだけど、しっかりロックしている。このバランスはなかなかいないんじゃないかってところを狙っています。

──その狙いはFILTERならではの個性になっていると思います。全員で歌いながらアンセミックでユーフォリックな音楽をやっているバンドで、こんなに曲が速くて、演奏がガツンとくるバンドは他にいない。そこがとても新鮮でした。

豊方:もっとBPMが遅くても栄える曲はあるんですけど、あえて速くしました。ライヴを意識したんですよ。アルバムの最後の「Pray Tonight(Not to end this night)」は同期も使っているんですけど、同期を使って勢いがなくなっちゃうのも嫌で。同期を使った曲だけライヴで落ち着いちゃうバンドが多いと思っていたので、“同期を使ってるのに攻めてくる”って思わせたかったんです。

──バンドの成長とともに根っこにあるパンクの要素を削ぎ落としていくバンドは多いですけど。

豊方:今作に関してはあえて残しました。もちろん、まんまパンクをやるつもりはないんですよ、せっかく煌びやかな音楽を作れているから。だから、そのバランスは今後も考えていかなきゃいけないとは思ってます。

──ところで、全員で歌うってなった時はみなさんどう思ったのですか?

葛西:そのほうがいいと思いましたね。

木村:そのままゴーしました(笑)。

高野:そしたら思っていた以上にヴォーカル以外も歌うパートが多かった(笑)。しかも、歌はほぼ全曲“オー”とか“ヘイ”で(笑)。

豊方:周りからは“オーオーって言いすぎじゃない? 歌詞にしたほうがいいよ”って言われるんですけど、“いや、これでいいんだ”って。周りを見ていると、振り切れるポイントがあるのに変に抑えようとしている人たちが多くて。そこは周りの意見は気にせずに突き抜けてなんぼかなってところはありますね。

──“オーオー”で正解だと思います。“ずっとオーオー歌ってるじゃん”くらいが。

豊方:ネタにされるぐらいがちょうどいい(笑)。

──そう思います(笑)。『euphoria』を作るにあたっては、どんな作品にしたいと考えたんですか?

豊方:前作を聴き返した時、リズムが甘くて普通だなと思ったんですよ。それでパンクの要素を残しながら踊れる要素を前面に出したいと思いました。“シンガロング+踊れる=イコール多幸感”というテーマを、どうにか全10曲でかたちにすることを目指しました。

──踊れるという意味では、「Rio!」は、まさにそうですね。

豊方:サンバっぽいリズムを入れました。ひとつこだわりがあって、(両手を左右に振りながら)こういう踊りではなくて、外国人がぐるんぐるんしているような…

葛西:本能的というか。

豊方:あとは熱狂的? “せーの”で踊りましょうと言うよりは、“ヒャッホーウ!”みたいな(笑)。ライヴでそうなるっていうのが目標というか、それをライヴ会場に蔓延させたいっていうのはありました。だから、曲作りもライヴを意識したやりとりをメンバーとめっちゃしました。

──「Pray Tonight(Not to end this night)」もそうですね。

豊方:今回の一旦の着地点なのかな。パンクの派生からサンバの踊れるリズムを取り入れて、最終的に同期を使ってクラブまで寄せてみたっていう。ずっとやりたかったんですよ。その着地点がアルバムの最後になったっていうのがめちゃめちゃいいなと思って。

──その一方では「Teenage Riot」のようなハードコアに近い曲もあって。

豊方:もともと大好きなところを振り切ってやってみました。シンガロングを入れることでまとまるんで、そこに可能性を感じて、そういうパンクナンバーと「Pray Tonight(Not to end this night)」のような曲を、シンガロング、多幸感というところでまとめられたのはすごい発見でした。

葛西:曲が出揃った時、全曲その芯が通っていたので、アルバムのタイトルも多幸感を意味する“euphoria”にしたんです。

豊方:ただ、全員参加のシンガロングを突き詰めすぎちゃったんで、今後は逆に男女ヴォーカルをそれぞれに聴かせてもいいのかな。あべスの声はキャラがはっきりしているから、もっと立たせてもいいと思うんですよ。そういう意味では、まだまだいろいろなことができると思っています。

──今回はこれだけシンガロングで押し通したのは良かったと思いますよ。やっぱり他にいないし迫力があるし。

豊方:そう言ってもらえてすごい安心してます。“やりすぎじゃない?”って言われても“うるせぇ、俺たちはやるんだ!”ってやってみたものの…

木村:ちょっとビビッてたじゃん(笑)。

豊方:ははは。出来上がった作品を聴きながら、“確かにすげぇ歌ってんな。これ、大丈夫か?”って。

木村:歌詞に起こした時もヤバかったよね。“オーオーだけで8行ぐらいあるぞ”って。

葛西:でも、ライヴで“歌おうぜ”って言ってるバンドも結構いるけど、“いや、歌詞難しくない?”って思うことがあるんですよ。でも、オーオーなら初めてでもみんな歌えるだろうって。

高野:声が出れば、自然に手もあがりますしね。

葛西:それはライヴをやりながら思いました。

──では、気に入っている曲をおひとりずつ教えてください。

豊方:「Pray Tonight(Not to end this night)」ですかね。さっきも着地点と言いましたけど、自分が目指していたことを表現できたと思います。今、FILTERを好きでいてくれる人たちも、“うわ、ここまで行ったか”みたいなところはあるんじゃないかな。

あベス:私も同じかな。唯一、シンセベースを弾いているんです。その音色を作るのがいろいろ試しながらで結構大変でした。

葛西:ベーシストとして新しいことをFILTERに加えられたという意味では「Rio!」ですね。踊らせるというところで、この曲は指弾きに挑戦したんです。「Rio!」ができてから他の曲に対するアプローチも広がりました。

高野:「Town Lights」です。唯一、3拍子の曲で、エモを通ってきた人間にとってはその3拍子はまさにエモマナーに沿っているんですよ。

木村:エモマナーって言葉ある!?(笑)

豊方:でも、しっくりきた(笑)。

高野:しっかりとギターソロが入っていて、ギタリストとしてしっかり聴かせられるところがあるのも気に入っています。

木村:僕は「Town Lights」か「Pray Tonight(Not to end this night)」。どっちもいい曲で、この2曲がアルバムの中でもっとも“euphoria”している。昔やっていたエモから、今FILTERが掲げているフェスティバルサウンド、さらにそこから進んでいることがその2曲からだけでも分かると思うんですよ。だから、どっちか決められない。うーん…どっちもです!(笑)

──分かりました(笑)。さて、リリース後はどんな活動をしていこうと考えていますか?

豊方:まずはアルバムのツアーですね。10月7日の初日は下北沢のBASEMENT BARとTHREEの2会場を使って、今までにお世話になったバンドを呼んでライヴをやります。結構ロングツアーで、ファイナルまで日本各地、いろいろ周ります。その先は…僕たちの音楽はたくさんの人と楽しめるし、広いところが似合うと思うので、自分たちをそういうフィールドにどんどん持っていきたいですね。単純にフェスに出たいっていうのもありますし、絶対に映えるという確信もあるし。実際、ライヴはお祭り騒ぎになるんですよ。すごい時はすごいです(笑)。ダイブする奴もいるし、踊っている奴もいるし。僕もテンションが上がると客席に飛び込んじゃいますし。メンバーとよく話すのが、“会場にいる人全員をメンバーにしたい”ってことなんですけど、メンバーも含め、そこにいる全員がFILTERの音楽に酔いしれているという状況にしたいんですよね。そういうところに向かえる規模感のバンドになるために、まずは『euphoria』をきっかけにいろいろな人に気付いてもらいたいですね。

取材:山口智男

OKMusic編集部

最終更新:9/20(木) 12:02
OKMusic