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景気拡大基調の下で再選へ、チャートで振り返る安倍政権の5年間

9/20(木) 11:00配信

Bloomberg

安倍晋三首相はきょう午後開かれる自民党総裁選で再選される見通しだ。戦後最長をうかがう景気の拡大基調を背景に、政権は高い支持率を維持している。長年にわたるデフレからの脱却を目指して推し進めてきたアベノミクスは、好調な世界経済を追い風に企業利益を増やし、株価を押し上げてきた。

しかし、政権発足当初から掲げてきた政策目標の一部は未達成だ。国の債務は増え続け、高齢化は進んでいる。女性活躍も「ガラスの天井」を打ち破るには至っていない。安倍政権の成果をチャートで点検する。

大規模な金融緩和と積極的な財政政策、そして世界経済の高成長はアベノミクスの5年間で年率平均1.3%の景気拡大に導いた。しかし、政府・日本銀行が掲げる物価目標2%の達成には程遠い。2019年10月に予定されている消費増税が先送りとなっても、安倍首相が目指す名目国内総生産(GDP)600兆円の達成は難しい。

日銀の金融政策に伴う円安は日本企業の国際競争力に恩恵をもたらした。輸出企業は高収益を確保し、海外からのインバウンド(訪日外国人旅行者)は記録的に増加している。一方で、日銀の黒田東彦総裁は国債を大量に購入し、その保有額は日本の経済規模とほぼ同じ大きさまで膨れ上がる新たな問題が生じている。

日銀は金融緩和の長期化を見込み、7月の金融政策決定会合で、長期金利の変動幅を拡大するなど、緩和の長期化を見込んだ副作用対策を導入した。異次元緩和は銀行の収益を圧迫し、債券市場と株式市場をゆがめている。

期待されているのは賃金の緩やかな改善が、消費拡大や物価上昇につながる景気の好循環だ。特に、円安で高収益をあげている輸出企業は設備投資に積極的で、国内向けの投資も増加傾向にある。日本企業の先行きを楽観視する株式市場で資産を増やす投資家が高額消費を担う一方で、地方では労働者が低賃金に甘んじている地域間格差を生み出しているとの批判もある。

経済成長による雇用増により、失業率は20年ぶりの低水準となった。しかし、高齢化に伴う生産年齢人口の減少も背景にある。安倍首相は人口減少に歯止めを掛け、将来世代が負担する負債を緩和する青写真をまだ示せていない。

女性の労働参加は進展しているが、やるべきことは残っている。東証1部上場企業の女性役員の割合は安倍首相の在任期間中に3倍以上増えたものの、わずか4.2%にとどまっている。女性の管理職を20年までに30%に増やすとしていた目標は後退している。

対抗馬の石破茂元幹事長は、安倍首相が憲法改正を進める前に、社会保障改革や地域活性化、財政健全化を優先すべきだと強調している。

Paul Jackson

最終更新:9/20(木) 11:00
Bloomberg