ここから本文です

がん細胞だけを数分で破壊! 「光免疫療法」異例のスピードで実用化も

9/21(金) 18:01配信

FNN PRIME

アメリカ大統領も誇った治療法は、日本人が開発!

樹木希林さんや、山本“KID”徳郁さん、さくらももこさん…今年も多くの方が、がんで亡くなられました。
国民の2人に1人が罹患する病、がん。
しかし、着実に進んでいる革新的な治療法の研究があります。
“光線”を使って、がん細胞をピンポイントで確実に攻撃する「光免疫療法」です。
オバマ前大統領が、2012年の一般教書演説で「がん細胞だけを殺す新しい治療法が実現しそうだ」と世界に誇ったように、これまではアメリカで研究が進められてきました。
そして遂に、国内での治験が、国立がん研究センター東病院で始まりました。
実は、世界が注目する、その研究を主導しているのは、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の日本人研究者、小林久隆主任研究員なのです。

【画像】もっと知りたい「光免疫療法」のメカニズム

15人のうち、14人のがん縮小 7人は消失!

2015年に始まったアメリカでの治験では、目覚ましい結果が出ています。
学会等で報告された結果では、1回だけ「光免疫療法」で治療した8人のうち、7人のがんが縮小し、そのうち3人はがんが消えました。
最大4回の治療を受けた7人では、全員のがんが縮小し、4人のがんが消えました。
つまり15人の患者のうち14人のがんが縮小し、そのうち7人のがんが消えたことになります。
アメリカでは、既に第2相までの治験が終わっています。
さらに、日本を含む早期承認制度に即した国際共通第3相試験も準備が進んでいます。

がんの『3大治療』と呼ばれる、手術・放射線・抗がん剤は、いずれも患者さんに副作用や大きな負担を強います。
しかし、「光免疫療法」は、これまでの治療法と大きな違いがあります。
私は昨年、ワシントンで小林氏に詳しくお話を伺ってきました。
「放射線でも化学療法でも、これ以上は人間の体が耐えられないという限界があります。しかし、光免疫療法には抗体の投与量限界も、照射量の限界もありません。がんが再発しても、何度でも治り切るまで出来る治療なのです」(小林氏)

がん細胞だけが風船のように破裂する!

「光免疫療法」では、「近赤外線」という光を使ってがん細胞を破壊します。
「近赤外線」とは、TVのリモコンや赤外線通信などに用いられている無害な光線です。
もう1つのポイントが、がん細胞だけに特異的に結合する抗体です。
その抗体に、IR700という色素(これを発見するまでが大変だったそうです)を一体化します。

具体的な治療法ですが、まずIR700と一体となった抗体を、静脈注射で体内に入れます。
1~2日すると、当然ながら、抗体は多くのがん細胞と結合します。
続いて、結合した抗体に「近赤外線」の光を照射します。
抗体と一体化したIR700は、「近赤外線」を受けると化学反応を起こすのです。
「IR700の化学反応で、がん細胞の細胞膜が壊れて膨らんでくる。膨らみ過ぎると破れて、がん細胞が破壊されます。」(小林氏)
化学反応で変化したIR700は、がん細胞の膜にあるたんぱく質を変性させ、細胞膜の機能を失わせます。すると1~2分という極めて短時間で、がん細胞は膨張~破壊されるのです。
それは、膨らみ過ぎた風船が破裂する様子に似ています。

皮膚がんのような身体の表面に近いものだけでなく、体の奥の方にがんがある場合も、注射針を通して細い光ファイバーを患部に挿し込めば、近赤外線を照射出来ます。
「光ファイバーを使うことで、食道がん、肺がん、子宮がん、大腸がん、肝臓がん、すい臓がん、腎臓がんなど、がんの8~9割はこの治療法でカバー出来ると考えています」(小林氏)

1/3ページ

最終更新:9/21(金) 18:46
FNN PRIME