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「切り裂きジャック」の被害者は売春婦ではなかった、通説に異議 歴史学者

2018/9/22(土) 10:04配信

The Telegraph

社会の危険な領域

 この調査を通じてルーベンホールド博士は、被害者数人の素性を突き止めた。その中には、元は英皇太子の友人の家に住んでいたが、後にアルコール依存症者のリハビリ施設に入った女性や、スウェーデンから新天地を求めてロンドンに移り、ポプラ―(Poplar)地区で夫婦でずっとカフェを経営していた女性などが含まれていた。

 歴史的にはこれまで、5人全員が売春婦だと思われてきた。しかし、ルーベンホールド博士は、少なくとも3人は売春婦ではなく、風俗業に関与していたことのある女性たちも、殺害された当時に客引きをしていた証拠はないと述べる。

「私たちは、19世紀の通説を疑問視してこなかった。彼女たちが殺害された当時の社会では、女性たちが軽んじられ、二流市民扱いされていた。しかし、そうして語られた話を私たちはそのまま語り継ぎ、その結果、彼女たちは社会からないがしろにされることとなった」

「被害者女性たちは、中流階級の一人を除き、全員が貧しい労働者階級だった。女性たちは結婚し、子どももいた。母親であり、妻であった。厳しい時は、洗濯場で働いたり使用人としても働いていた。それなのに、世の中に受け入れられた話は、『5人は売春婦で、切り裂きジャックは売春婦ばかりを狙った連続殺人犯』というものだった」

 被害者の女性たちが歴史に無視され、全員が売春婦だったというレッテルを貼られたのは、売春が女性差別を助長する職業だったからだと博士は主張する。

「ミソジニー(女性蔑視)や性差別が奥底に流れている歴史に対して、私たちは大いに疑問を持たなければならない。現代の、そして昔からの文化的な規範について疑問に思わなければ、危険な領域に足を踏み入れることになる」

「5人の被害女性らは、130年にわたって社会から非人間的な扱いを受けてきた。われわれはこれまでのあり方を見直さなければならない」

 ルーベンホールド博士が執筆した「ザ・ファイブ(The Five )」は来年3月に書籍化され、ドラマ化も進められている。【翻訳編集】AFPBB News

「テレグラフ」とは:
1855年に創刊された「デーリー・テレグラフ」は英国を代表する朝刊紙で、1994年にはそのオンライン版「テレグラフ」を立ち上げました。「UK Consumer Website of the Year」、「Digital Publisher of the Year」、「National Newspaper of the Year」、「Columnist of the Year」など、多くの受賞歴があります。

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最終更新:2018/9/22(土) 10:04
The Telegraph

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