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これで「一部損壊」? 住宅被害判定、不満広がる

9/25(火) 6:03配信

北海道新聞

内部にゆがみ、相次ぐ再調査請求

 胆振東部地震での建物の被害認定を巡り、被災住民に不満や不安が広がっている。建物の外観を調べる自治体の被害調査では24日現在、道内の建物被害のうち8割が、国や道の支援金が支給されない「一部損壊」とされた。ただ外観に大きな損傷がなくても、地盤沈下などで内部がゆがむなどの被害を受けた住宅も多く、再調査を求める世帯も相次ぐ。専門家は「きめ細やかな支援が必要」と指摘する。

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 札幌市清田区里塚の大規模陥没が起きた一角から数百メートル離れた住宅街。60代の女性は「これからどうすればいいのか」と途方に暮れる。自宅は外観上被害はないが、敷地内に地割れが走り、その影響で家の内部がゆがみ、あちこちのドアが開きにくくなっている。業者からは大規模修理が必要と言われた。

 だが地震発生直後の市の判定は「一部損壊」。女性は納得できずに、再調査を申し込んだ。地域住民によると、里塚地区では市に再調査を求める世帯が相次いでいるといい、女性は「家が傾いた人たちの支援はもちろん大事だが、ほかの被害にも目を向けてほしい」と訴える。

国や北海道の支援金出ず

 道のまとめでは24日午後5時現在、自治体から報告のあった建物被害6559件のうち、81・3%が「一部損壊」と判定。自然災害で住宅に深刻な損害を受けた人を支援する被災者生活再建支援法では、一部損壊は支援金の対象外で、修繕の費用は原則自己負担となる。
 災害発生直後の自治体による建物の被害調査では、迅速性を重視することなどから、外観の目視にとどまる。調査を担当する札幌市税制課によると、外観が傾いていたり、大きなひびがなければ一部損壊とみなされる例が多いという。
 震源地に近い胆振管内安平町。現地で被害調査を指導する新潟大災害・復興科学研究所の田村圭子教授は「火山灰地が広がる安平町では複数箇所で、地盤沈下の影響とみられる被害が出ている」と指摘する。
 同町追分地区の松田正志さん(80)宅では、家屋に損傷はないものの、地盤沈下で地下の合併浄化槽が壊れ、トイレが使えなくなった。業者にも直すのは難しいと言われたという。
 同町は9月末から建物被害の調査結果を住民に通知する予定だ。松田さんは「家屋が壊れていないだけに、どう被害が認定され、支援を受けられるのか分からない」と気をもむ。
 2016年の熊本地震では、一部損壊と判定された住宅が約8割に上った。田村教授は「地盤被害は再建に時間も費用もかかる。外観だけで一部損壊とせず、きめ細やかな調査や支援のあり方を考えるべきだ」と話している。

北海道新聞

最終更新:9/25(火) 6:03
北海道新聞

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