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コムデギャルソン、川久保玲インタビュー「仕事に楽しみは感じない」

9/26(水) 12:00配信

The Guardian

【記者:Jess Cartner-Morley】
 私は川久保玲(Rei Kawakubo)に服のことを聞きに来たわけではない。彼女はもう服を作っていないからだ。それでもなお、川久保は世界で最も重要なファッションデザイナーの一人であり続けている。コムデギャルソン(Comme des Garcons)の5年前のコレクション「Not Making Clothes(服を作らない)」では、細長い黒布でできたおりのような服や、フリルの洪水に半分隠れた鮮やかなピンク色のタイツなどを身に着けたモデルがランウェイを歩いていた。その9シーズン後の今も、パリファッションウィークでは毎回コムデギャルソンのショーが行われている。ブランドの年間売上高は推定2億8000万ドル(約315億円)。それでも、川久保は服を作っていないと主張する。つまり、川久保玲とはどこまでも「ハイコンセプト」 なのだ。

「服を作らない、とはどういう意味なのですか?」と私が質問すると、少し間が空いた。川久保への質問はすべて、コムデギャルソン・インターナショナルの最高経営責任者(CEO)エイドリアン・ジョフィ(Adrian Joffe)の通訳を通すからだ。ジョフィは川久保の夫になって25年、ビジネス上のパートナーになって31年になる。日本語以外のやり取りは、ジョフィを通じて行われる。ジョフィが通訳し、川久保が何かを言い、2人は日本語で激しく議論する。

 川久保はスフィンクスのように謎めいた雰囲気で座っている。腕を組み、ジョフィから私にさっと視線を移す。「本当は毎シーズン、新しい脳が欲しいと思っている、と言っている」。やっとジョフィが言った。「だが、それはできない。だから、仕事に向かう新しい方法を見つける必要がある。9シーズン前はこう考えていた──服を作ろうとしなければ、何か新しいものを作り出せるかもしれない」。それを聞いて私は、独創的な考えのためにゆとりを作るということなのかと尋ねた。ジョフィは川久保と相談し、励ますようなかすかな笑みを私に向け、言った。冷たい言い方ではなかった。「そんなに単純なことではない」

 インタビューの序盤はそんな感じで過ぎていった。ファッションデザイナーの多くは、自分の仕事は自己表現だと言うはずだ。では、コムデギャルソンは私たちにあなたの何を語っているのか。そう質問すると、ジョフィが通訳し、川久保が答え、2人は日本語で話し合った。それからジョフィは、川久保はあなたに質問の意味をはっきり説明してもらいたがっていると話した。私が言葉を探していると、川久保が再び話し始めた。「(自分が何を語りたいかは)関係ないと彼女は言っている」とジョフィが言う。なるほど。「自分の生き方やエネルギーを得る方法は、コレクション制作のためにしなければならないこととは別のことだ。川久保の生き方と服の作り方には何のつながりもない」

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最終更新:9/27(木) 14:01
The Guardian

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