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伝説のシューフィッターが明かす「Qちゃん金メダル」の舞台裏

9/28(金) 22:07配信

東スポWeb

“伝説のシューフィッター”三村仁司氏(70)、1997年世界陸上アテネ大会10000メートル、2003年パリ大会マラソンでともに銅メダルを獲得した千葉真子(42)が28日、東京・世田谷区のスポーツジム「TSUTAYA Conditioning」で、オープン1周年を記念したトークショー(ニューバランス・ジャパン主催)を行った。

 三村氏は瀬古利彦(62)、谷口浩美(58)、有森裕子(51)、高橋尚子(46)、野口みずき(40)ら陸上の名ランナー・メダリストや、イチロー(44=マリナーズ)、香川真司(29=ドルトムント)らのシューズを手掛け、素材や機能性を知り尽くしたきめ細かいフィッティングとアドバイスで好成績に導いた。

 世界の大舞台で活躍する日本選手を足元から支え、黄綬褒章を受章。厚労省「現代の名工」にも選ばれた。今年からNBと契約を結び、専属アドバイザーに就任した。

 三村氏は00年のシドニー五輪女子マラソンで金メダリストとなった“Qちゃん”こと高橋について「五輪の2か月前、小出義雄監督(79)から電話があって本人がうちのラボに測定しに来た。ベスト体重から13キロオーバーの状態で、誰か分からんほど。足も体重に応じて大きくなるので、ベスト体重を考えて1センチ大きい物から、2・5ミリ刻みで5、6足作った」と語る。

 体重変動の激しいことで知られる高橋は、三村氏の心配をよそに米国で高地トレーニングを行い、毎日60?70キロ走り込んだ。「普通は調子のいい時用、通常用、悪い時用の3足を用意する。あれだけ作ったのは彼女だけ」と三村氏があきれると、佐倉アスリート倶楽部時代に高橋と同僚だった千葉は「米国合宿に行く際、彼女だけ異様に大きなバッグを持っていたのはそのせいか」とうなずいた。

 実は高橋は骨盤がずれており、左足の方が長い。そのせいで股関節痛や腰痛に悩まされていたという。三村氏は左右の靴底の厚みを変えることで対応していたが、高橋は五輪直前に「左右の厚みが違う靴では気持ちが前向きにならない。左右同じ靴を本番用に作ってほしい。2時間走るだけなので大丈夫」と訴えたという。

 三村氏は股関節痛再発の可能性を指摘して説得したが、頑固な高橋は聞き入れない。「仕方がないので黙って厚みを変えた物を作った。もし見破られたら終わりだと覚悟を決めて、辞表を書いた」という。

 はたして、高橋は五輪新記録で優勝。国民栄誉賞も受賞した。三村氏は「あとで小出監督とお礼に来た。100人くらい報道陣を引き連れてね。だから、わざと記者に聞こえるように『靴どうだった?』と尋ねたら『最高でした!』と言うので、『やっぱり厚みを変えて作ったのがよかったろ』と教えたら『そうなんですか』と驚いていた。分からんかったみたい。それから、厚みを倍くらい変えて作っても何も文句を言わんようになった」と、快挙の舞台裏を明かした。

最終更新:9/28(金) 22:09
東スポWeb

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