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アングル:テスラ和解、空売り筋や司法省調査に新たな燃料投下

10/1(月) 13:24配信

ロイター

Gary McWilliams

[30日 ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラ<TSLA.O>と米証券取引委員会(SEC)の和解は、空売り筋や司法省調査に「攻撃材料」を与える一方で、同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)への監視強化を求める投資家の圧力を和らげることになりそうだ、と専門家は指摘する。

和解合意では、マスクCEOとテスラのそれぞれが2000万ドル(約22億8000万円)に上る制裁金をSECに支払うほか、マスク氏は会長職を退き、同社は2人の独立した取締役を任命する。

SECは、同社の株式非公開化に向け資金調達のめどが立ったとツイートしたマスクCEOの行為は、投資家を欺くものだったと、同CEOを提訴していた。

今回の和解合意は、裁判所による承認を得る必要がある。また、問題のツイートを巡り司法省が開始した調査や、テスラによる証券取引関連法違反で損失を被ったと主張する空売り筋による提訴を終結させるものではない。

「会社側が怖いのはSECではなく、このような和解合意の後に続いて起こされる民間による行動だ」と、デラウェア大ワインバーグ企業統治センターのチャールズ・エルソン所長は語る。「あのような巨額の罰金に合意したことは、(株式損失に関する)投資家側の主張を強める材料になる」

合意の中で、マスクCEOやテスラは、SECの指摘を否定も肯定もしていない。どちらも、コメント要請に応じなかった。

事情に詳しい関係者によると、マスクCEOは、SEC側の合意案は歓迎できる内容であり、法廷闘争の長期化は会社の為にならないとのアドバイザーからの説得を受け入れて、和解に同意したという。またマスク氏は、赤字のテスラに代わって制裁金を負担すると申し出たが、SEC側がその提案を拒否したという。

テスラ株は28日、SECが投資家の誤解を招いたとしてマスク氏を提訴したことを受けて14%下落。マスク氏が1株420ドルでテスラの非公開化を検討しているとの問題のツイートをした8月7日以降では、30%の下落となった。

投資家側が起こしている法的措置が、現金または株式による巨額の和解に終わる可能性がある、とエルソン氏は指摘する。もし株式による和解となれば、現在テスラ株の約19%を所有しているマスクCEOの持分が希釈され、同氏の経営に対する影響がさらに弱まることになる。

ただ、罰則内容がそれほど厳しくなかったことや、テスラの顔であるマスク氏が、監視強化されつつもCEOの職ににとどまることによる安堵感から、1日のテスラ株は安定した取引になる可能性があるとアナリストは予測する。

テスラは今週、第3・四半期の生産実績を公表する予定で、投資家は、量産型セダン「モデル3」の生産目標が達成されたかに注目している。テスラが黒字を上げたかどうかは、決算発表まで分からない可能性が高い。

SECが29日公表した和解合意は、「イーロン・マスク氏やテスラ、そして究極的には株主にとって好ましい結果だ」と、RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ジョセフ・スパック氏は指摘。また、テスラ株が先週の下落分を一部回復すると予測した。

テスラ経営陣の増員と新会長就任により、「イーロンに対する真の監視機能が備わり、(マスク氏の言動やビジネス上の目標に対する)説明責任が増す」ことへの期待が生じると、スパック氏は付け加えた。

テスラとマスクCEOは、SECによる当初和解提案よりも厳しいペナルティーを受け入れる結果となった、と事情に詳しい関係者は言う。SECは当初、数百万ドルの制裁金と、マスクCEOを2年間会長職から遠ざける条件で折り合う構えだったが、マスク氏が即座に受け入れなかったため、条件を吊り上げたという。

(翻訳:山口香子、 編集:下郡美紀)

最終更新:10/14(日) 7:35
ロイター