
ASKAが2018年に入りソロデビュー31周年を迎えた。それに呼応するように今年に入りその動きが、ますます活発化している。ファンが選んだ『We are the Fellows』と、自身が選んだ『Made in ASKA』の2種のベスト・アルバムの同時発売を始め、交響楽団と贈る実に久々となる全国ツアー、また新曲群の配信開始やそれに伴う自前の配信システムの新規立ち上げ…。また、それらに準ずるように、ブログやファンクラブを通し、「待ってくれている人たち」に向けてのメッセージもより色濃くなってきたのも見逃せない。
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そのバイタリティは一体どこからくるのだろう? 前編(https://www.excite.co.jp/News/emusic/20181001/E1538020224876.html)をふまえ、その辺りを軸に本人に「いま思うところ」を紐解いてもらった。
■ストリーミング配信で「ミュージシャンがいなくなる」
――ブログのなかでも個人的に興味を惹いたのは、ASKAさんの今の音楽業界やこれからのミュージシャンに対しての危惧や危機感、そのためにどうしたら良いかを真摯に説いていたところでした。
ASKA:音楽業界やミュージシャンの多くが、これと近いことを感じられていると思うんです。ただ、日本のミュージシャンは、どこか「活動をさせてもらっている」という心理に美学を持っているとことがあります。僕は20年以上前に、「いずれ、楽曲は何らかの通信によって、皆さんの元へダイレクトに届けられるようになる」と伝えていたりしてたんです。今思うと、配信のことでした。また、「いつしか音楽の価値がグンと下がって行く時代が来る」、それがいわゆる今のストリーミングのことでした。「それらが現実的になったらミュージシャンと呼べる人は誰も居なくなってしまうだろう」と僕は伝えていたんです。その「ミュージシャンがいなくなる」の表現は極論にせよ、音楽に夢を見出し、“音楽をやろう!”と考える人たちが少なくなっていくだろうと。
――確かに今は一部を除き、かつてよりミュージシャンの生活水準が下がっているかもしれません。
ASKA:そのいい生活をするのももちろん目指す目標の一つでしょうが、作品を作っても、作品をつくるための制作費がどんどん削られていき、結果、クオリティの低いものになってしまう。アーティストへの還元が少なくなってしまうんだから。そうなったら、音楽を作る前に、楽曲を作るお金の心配をしなくちゃならない。“そんな環境の中、音楽家はどうやって音楽をやっていけばいいのか……?”そんな世の中に必ずなるよと。で、実際そうなってきてますし、多くのミュージシャンがライブを中心にしないと食べられてない状況ですから。
――アーティストも今や音源ではなく、ライブやその物販で収益を得たり、音源でかかった費用を回収したりとの考え方に変わってきてますもんね。
ASKA:逆転してますよね。もちろん、それはこの時代に合ったスタイルではあるんでしょうが、自分達が見ていたものとは違うなと。昔はそれこそ、ライブでは赤字覚悟でエンタテインメントを観せておいて、それをアルバムで埋め合わせしていくスタイルでした。今では、音楽はサービス業になっています。それもあって、自身で配信サイトを立ち上げたんです。
――「Weare」ですね。これはハイレゾによる高音質の音源を、同業他社の一般価格よりも比較的安価で購入でき、ミュージシャンにも高還元率が売りのシステムとお見受けしました。
ASKA:すでに活動を盤石にされているミュージシャンの方々には必要ないでしょうが、これからのミュージシャンにとって音楽業界の新しい地図の一つに加わればいいなと立ち上げました。
――ここまでベテランながら、あえて時代に背を向けず、頑なにならず、その流れの中で最良な方法を見つけようとしている、ASKAさんのその姿勢には驚かされます。失礼ですが、ASKAさんと同世代ぐらいのミュージシャンは、未だに盤に強く固執している印象があったもので。
ASKA:正直、僕の周りにもそういった方々はおられました。しかし、中には僕の活動を見ていて、考え方を変えてくれた方もいらっしゃって……。その時代によっての泳ぎ方ってあると思うんです。今は、ミュージシャンが一丸となって、世の中の川を泳ぐのではなくて、世の中に自分たちが泳げる川を作らなくてはならない。そういったやり方をしているだけです。
――あえてハイレゾという高音質でのデバイスにもこだわっている印象があります。
ASKA:せっかく一生懸命作った音源なので、最もレコーディング時に近い音質やより良い音で届けたいですし、聴いてもらいたいんです。あとはハイレゾとCDとの音の違いにあまりにもショックを受けて。こんなに音が違うものなのかと。ゴージャス且つ耳にもなじみやすい。あとはクオリティが高いのに、やってみると案外便利。一度、取り込んだら、あとはタッチだけですからね。人はやはり便利な方にしか流れないので。音が良く且つそこに通常の配信音源との価格差もあまりない。そこを目指しています。
――実際、そのハイクオリティと低価格は両立可能なものなのでしょうか?
ASKA:そのために企業とタイアップしています。システムを共有することで開発費も抑え、かつ、間に幾つも会社を挟まない。あと我々のマージンは一切ナシなので実現できたところもあります。従来は、ハイレゾにマスタリングし直すのに労力やお金がかかっていましたが、そこもレコーディング時からハイレゾ再生を前提に録り、ハイレゾ推奨の形態で納品してもらえればいいわけで。その辺りでもコストを抑えることができます。
――とは言え、せっかくそのような高音質での再生楽曲を作っても、それを普通の再生機器で聴く方も多いでしょうに。
ASKA:それもあり、Weareでは、それの再生に適したヘッドフォンや、低価格で優れた音質のBluetoothスピーカーを開発したので、今後、随時販売していく予定です。ハイレゾの音質を損なわないBluetoothです。
■ベストアルバム制作 最初は抵抗があった
――この度、ファンが選んだ『We are the Fellows』と、自身が選んだ『Made in ASKA』の2種のベスト・アルバムを10月17日に同時発売されますが、自身で聴き返してみていかでした?
ASKA:実は初めてなんです、このような自分がキチンと監修するベスト盤は。本来、自分はこのような類いが苦手で、ずっと敬遠していたんです。これまでも多くのベスト盤が出てましたが全てノータッチでしたから。
――それには何か理由でも?
ASKA:深くは語りませんが、そういうものに抵抗がありました。
――それがどうして今回は?
ASKA:考え方が変わったんです。『We are the Fellows』は僕の音楽をずっと聴いてきてくれていた方々が楽曲を選んで下さったんですが、人気投票の順で1位から13位までを、そのまま並べただけなんです。自分で決めたり並べたら決してこうはなってなかったでしょうね。逆に僕の発想にはなかった曲や曲順になったんで、ちょっと驚きました。
――それは?
ASKA:ファンの方が選んで下さった楽曲となると、やはり自身のマニアック心等もあり、あえて自分だけが好きな曲を選びがちなんですが、例えば、「はじまりはいつも雨」のようなポピュラーな曲が上位に入っていたのは意外でした。その辺りは幅広い人に向け、僕よりも客観的に選んで下さったのかも。いわゆる「自分が聴いてきたASKAで、世間に紹介するとしたらこの曲」みたいな。
――対して『Made in ASKA』はご自身の選曲ですね。
ASKA:当初はわりと選曲で苦しむだろうと覚悟して臨みましたが、わりとすんなり決まりました。『We are the Fellows』に入ってない曲の中から大枠を選び、そこから絞っていったんです。加え、選曲のリクエストの際に、「この中から選んでください」と提示した曲以外から選んできた曲があって。予想にもしませんでした。
――それが「cry」ですね。こちらは1995年に黒田有紀さんにASKAさんが楽曲提供された曲ですもんね。
ASKA:ステージでは歌ってきてたので、みなさん自分の曲のように思って下さっていたんでしょう。みなさんが求めていたのはステージでの僕が歌うバージョンでしょうから、あえてそのステージの際と同様にそのままのアレンジや歌唱法で録りました。それこそ当時20歳の女の子が歌うように作った曲なので、“還暦の僕が歌って大丈夫かな?”との迷いもありましたが(笑)、あえて歌詞もそのままで歌いました。逆にこれが「歌」だなと実感しましたね。世代を超えることができる。
――あと、こちらには新曲も入っています。
ASKA:この曲は聴いて下さる方を驚かせたくて入れました。これはそれこそディズニーっぽい曲で。歌詞に関しては、今、月一ぐらいでメンバーが変わりながら、福岡で同窓会みたいなものをやっているんです。小学校時代を基に、幼稚園から高校までの同級生が混じり合って参加する感じで。そこでは色々なことを語り合っていますが、どれも昔を懐かしむだけではなく、みんな今を語り合っていて。それがすごくいいんです。そうか、俺たちは冒険をしてきたと思えばいいんだと。みんな色々と経てきたけど、今、ここに一緒に居る。それが答えだろうと。それをテーマに書きました。歌もあえて子守歌風に歌っていて。そうそう、この曲には小学校時代の校歌も一部も盛り込んでるんです。
――話を配信に戻すと。これだけのインフラが整ったら、これからはスピーディに新曲が届けられそうですね。
ASKA:そこは分からないですね(笑)。歌を作って、みんなの前で歌っていられる。それがずっと続けばいいなとは思っています。歌いたいと思えているうちは歌っていきますよ。エンタテインメントの最たるところは、楽しんでくれているお客さんを見て、自分も楽しむことですから。
取材・文/池田スカオ和宏
撮影/石井 小太郎
【プロフィール】
1979年CHAGE & ASKAとして「ひとり咲き」でデビュー。「SAY YES」「YAH YAH YAH」「めぐり逢い」など、数々のミリオンヒット曲を世に送り出す。音楽家として楽曲提供も行う傍ら、ソロ活動も並行し、1991年にリリースされた「はじまりはいつも雨」が、ミリオン・セールスを記録。同年のアルバム「SCENEII」がベストセラーとなり、1999年には、ベスト・アルバム「ASKA the BEST」をリリース。また、アジアのミュージシャンとしては初となる「MTV Unplugged」へも出演するなど、国内外からも多くの支持を得る。2017年には、自主レーベル「DADA label」より、アルバム「Too many people」「Black&White」 等をリリース。
最終更新:2018/10/4(木) 10:45
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