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日本には“漁夫の利”が 米中貿易戦争で安く買えるモノは何

10/3(水) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 米中の貿易摩擦による関税の上乗せは、まるでヤクザの報復合戦だ。この3月に始まった米国の中国製鉄鋼製品の関税上乗せ(25%)などに始まったそれは、中国の反発(米国からの輸入品に関税上乗せ)、米国の対象製品拡大、中国の再反発――の繰り返し。やられたらやり返す、泥仕合になっている。

 そして先週、トランプ政権は中国に対し最大の制裁措置に踏み切る。食料品や電化製品まで中国からの輸入品の半分を制裁対象にした10%の関税上乗せを決めた。中国もすかさず反発する。LNG(液化天然ガス)など、米国からの輸入品の7割に高い関税をかける措置を発動したのだ。

 一方で、中国の対米投資は激減している。米ニューズウィーク誌によると、「今年1~5月の対米投資は18億ドル。前年同期から92%も落ち込んだ」という。もう米国の企業に投資はしないし、株や不動産も買いませんという姿勢の表れか。

 久留米大商学部教授の塚崎公義氏がこう言う。「まず、今回の米国の姿勢は相当本気です。日本に対しては、漫画のジャイアンがスネ夫のおもちゃを取り上げるのと同じですが、中国に対しては“思いっきり殴って痛めつける。多少反撃されても、いまのうちに徹底的に弱らせる”のが目的なのです。このままでは近い将来、IT分野などで中国に負けてしまうかもしれない、だから今――という腹積もり。この戦いは中国経済が弱体化するまで何年も続くと思う。勝者? 米国の圧勝でしょう」

 中間選挙向けのトランプのパフォーマンスなどではないのだ。たしかに、2国間の輸出がストップした場合、経済規模から考えると困るのは中国の方だろう。経済規模がデカい米国も少しは困るが、中国の比ではあるまい。

 報復合戦の影響はすでに出始めている。米国では、7月の中国による農産品などへの関税上乗せ措置で大豆の輸出がダブつき、価格が3カ月で15%も下落して農家がピンチに。

 だが、台湾が大豆の輸入を決定(日本円で最大1700億円規模)し事なきを得る。

 また、米ブルームバーグは28日のニュースとして、「中国の果物店には欧州やエジプト産の果物が並び、米国は南米に農産物を輸出している」と伝えている。

■日本にはタナボタに

 日本への影響はどうだろう。トバッチリで庶民生活が困るような事態になったら一大事だ。

「まず考えられるのは、対米国、対中国の輸出が2つとも増える可能性です。中国が米国から買っていたモノを日本から買うようなケースが増えると思う。米国についても同様です。中国で作っていたモノを国内で作ることになれば日本の景気も良くなるでしょうね」(塚崎教授)

 中国向けの一部の部品輸出は減るが、景気が上向けば給料やボーナスアップが期待できる。家計も潤うに違いない。塚崎教授が続ける。

「農産物や電化製品などが安く買える可能性も大いにあります。つまり、中国は、米国が買ってくれないから困った。安くていいから買ってよ――というシナリオ。先ほどの大豆の話と理屈は同じです。中国の景気が悪くなれば、工業生産は落ちる。世界一石油を使う国の経済が鈍化すれば、ガソリン価格も世界的に安くなるでしょう。逆に心配点があるとすれば、中国に工場を持っている会社の株価が下がることくらい。考えてみれば、日本にとってはいいことずくめかもしれません」

 漁夫の利にありつけるか。