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FRB強気利上げ姿勢 2020年まで継続へ

10/3(水) 11:01配信

ニュースソクラ

トランプ大統領は不快感、FRBは意に介さず

 9月25~26日に行われたFOMC(米国連邦公開市場委員会)では、3か月ぶりとなる利上げを決定、政策金利(FF金利)の誘導目標を0.25%引き上げて2.0~2.25%とすることとした。

 2015年12月にゼロ金利を解除、その後2016年に一回、2017年に三回、そして今年2018年は3月、6月、9月と三回の利上げを行ったことになる。

 FOMCのステートメントをみると、今年6月にいわゆるフォワードガイダンスの部分を全面削除したのに続き、今回の9月のステートメントでは「現在の水準は引き続き緩和的」との表現も削除された。

 FRBが市場金利を次第に中立的金利水準に近づけ、さらには市場利子率が中立的金利水準を上回るような引き締め局面に入ることも辞さない決意を示している。

 今回、同時に発表されたFOMC参加者の経済予測をみると、実質成長率は2018年(10~12月の前年比)が3.1%、2019年は2.5%と、前回予測に比べて各々0.3%、0.1%上方修正された。2年連続して潜在成長率の1.8%を上回り、物価には上昇圧力がかかる、との予測を示したといえる。

 失業率は2018年が3.7%(前回予測3.6%)、2019年が3.5%(同3.5%)と大きな変化はないが、均衡失業率は4.5%と据え置いた。

 物価面ではFRBが重視する個人消費支出(PCE)デフレーターは2021年まで2.0~2.1%とFRBの目標とする2%近傍で推移する、と見通している。

 政策金利の引き上げ見通し(中央値)については、2018年は四回、2019年は三回、2020年が一回となっている。従って2018年は12月のFOMCでさらに0.25%の利上げを行うことが確定的である。

 市場の一部には景気に配慮して2019年の二回程度の利上げで利上げ打ち止め、との見方があった。しかし、これを覆して2020年まで利上げを継続して3.5%近傍まで金利水準を引き上げる、という厳しめのスタンスを示したといえる。

 トランプ大統領は26日の記者会見でFRBの利上げに対して不快感を示している。しかし、大幅減税も加わって過熱気味ともいえる景気拡大が続く中、FRBは独立性を維持して政治的な判断を考慮に入れることはないであろう。

 FRBのパウエル議長は26日の利上げ決定後の記者会見で「米国経済は輝かしい局面にある」との自信をのぞかせた。

 アルゼンチン、トルコなど一部の新興国通貨の急落やトランプ大統領の主導による米中貿易戦争の高まりの悪影響などを乗り越えて米国経済は持続的成長を続けるとの見解を示した。

 しかし、今回初めて発表された2021年の経済予測では、トランプ大統領による大幅減税の効果も次第に薄れることなどから、実質成長率は1.8%と2%割れを予測している。

 今後のFRBの金融政策をフォローする際には、パウエル議長自身が講演で発言した内容が重要ではないかと思われる。

 同議長は「長期の自然失業率や中立的金利の水準に関する議論は所詮推計値であり不確かである」「インフレは金融政策運営にとって最善の指標と言えないかもしれない」と注目される発言をした。

 この時、同議長はエコノミスト出身ではないが、老練な実務家として金融市場における不均衡の拡大に懸念を示している。

 実際に、リーマンショック後における金融緩和の長期化の下で、ジャンク市場でのスプレッド縮小、企業向け融資における財務制限条項(コベナンツ)の大幅な緩和、クレジットカードやスチューデントローンなど消費者ローン部門での延滞率上昇、など金融面では緩和の副作用ともいえる動きが目立ってきている。

 FRBの利上げに対する強い決意には、サブプライム問題、リーマンショックなどの金融面の不均衡を軽視して、大幅な景気後退を招いた反省が一因となっているのではないか。

公開日: 2018/09/27(マーケット) Reuters Reuters 俵 一郎:経済着眼 (国際金融専門家)

最終更新:10/3(水) 11:01
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