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<北朝鮮内部>困窮軍人が国家機関の密輸現場を襲う 下士官が死亡

10/4(木) 5:10配信

アジアプレス・ネットワーク

◆国家機関が大々的密貿易

国連による経済制裁で貿易に大きな打撃を受けている北朝鮮では、国家機関が前面に出て中国との密貿易を活発に行っている。

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密貿易の中心になっているのは鴨緑江上流地域で、金正恩(キム・ジョンウン)氏の統治資金調達を担当する「39号室」傘下の貿易会社を中心に、多くの国家機関が直接国境まで来て、中国当局の黙認のもとに物資を往来させている。

現在、密輸の最大のポイントは両江道の中心都市・恵山(ヘサン)市から下流に車で一時間ほど下ったヌピョン地区付近だ。

「日暮れから朝にかけて大々的に禁制品が行き交っている。中国からはバスやトラックなどの車両、電子製品などが入ってくる。北朝鮮からは繊維製品、海産物、漢方薬材料、木材、非鉄鉱石などが渡される」
調査に当たった両江道に住む取材協力者はこのように説明する。

◆貿易会社の密輸品を襲う困窮した軍人

このヌピョン里で9月中旬、密輸品を盗もうとした軍人が死亡する事故があった模様だ。現地を調査した取材協力者は次のように言う。

「9月中旬のある日の晩、国境警備隊所属の中士(下士官)が、国家機関が中国側に引き渡す薬草を満載したトラックに上って盗もうとしたが、車が動き始めたために落下して死亡する事故があった。騒ぎになって一時的に国家密輸が全面中断になっていた」

鴨緑江上流地域は昔から密輸が盛んであったが、今年に入って経済制裁が強まると国家機関が多数集結するようになって、逆に民間人の密輸は強い統制を受けるようになった。そのため、密輸を黙認、あるいはほう助することで現金収入を得ていた国境警備隊員に困窮する者が続出。金正恩政権は、軍隊に食糧や生活必需品をまともに供給できずにおり、各地の軍部隊に栄養失調が蔓延しているのが実情だ。

「兵士ではなく下士官が密輸品を盗んで売り払おうとしたわけだ。軍人たちがどれだけ生活に窮しているか。非常に深刻な状態だ。密輸をしている貿易会社は、品物を守るために警備員を雇っているが、貧窮にあえぐ兵士や民間人の盗難を防げないでいる」
と協力者は述べた。(カン・ジウォン)

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