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町に広がる多様なアート  横浜・黄金町地区一帯でイベント

10/4(木) 14:52配信

カナロコ by 神奈川新聞

 横浜市中区の黄金町地区一帯でアートイベント「黄金町バザール」が開催中だ。「フライング・スーパーマーケット」をテーマに、アジアを中心にした七つの国と地域から17組のアーティストが参加。アートをきっかけに、文化や社会について楽しみながら考えられる場が、町に広がっている。

 2008年から始まり、毎年行われている同イベント。かつては違法飲食店が立ち並び、女性が一人で歩けない危険な町だった同地区で、アートを使った町の活性化に取り組んできた。

 主催する黄金町エリアマネジメントセンター事務局長の山野真悟ディレクターは「第1回のテーマは『うそのような本当の話』だった」と振り返る。アートを前面に出さず、販売を主体にした市場のような雰囲気を出し、架空の町を想像させた。今回は、そんな10年前に立ち返り、町全体に広がる架空のスーパーマーケットをイメージ。

 「10年目を迎えて、町も落ち着いてきたと思っていたが、最近、不審なことも起こっている。改めて道半ばだと思う。今後も地域の皆さんや警察、行政の方々と思いを統一させて取り組んでいく」と話した。

 京急線の日ノ出町駅と黄金町駅を結ぶ高架下や周辺に点在するスタジオ、商店などで展示やワークショップを行う。例年より展示エリアは広がった。

 違法飲食店を改装したスタジオの一つで展示する大野光一。人の顔を描いた150点以上の絵画が、1階から2階に数を増やしながら並ぶ。「怒っていたり、ちょっと笑っていたり。表情や個性よりも、顔の造形に関心がある」と大野。

 急勾配の階段や「ちょんの間」と呼ばれた狭い部屋で見る者を取り囲む大量の顔には、不気味な気配も漂う。

 シンガポールから参加したアーティスト集団スピーク・クリプティックの作品は、町の中に点在する。

 道行く人も眺められる壁画には、スーパーのカートを押しながら町を流れる大岡川の中を歩く巨人の姿。カートの中の品物は、川沿いに立ち並ぶ四角いビルの形に似ている。

 「われわれは土地から取った物を消費している。時に過剰な消費は、さまざまな所に影響する」と、消費に関する問題を提起する。

 台湾の蔡(ツァイ・クェン・リン)坤霖は、大岡川の水中で録音した音を利用したインスタレーションに取り組む。10年の同イベントにも参加しており、「道路のごみや川にあった不法投棄の船などがなくなり、個人的には町がきれいになったと思う。毎日見ている地域の人は気付きにくいかもしれないが、振り返る機会になれば」と、当時撮影した写真と現在の町の風景を比べる展示も行う。

 28日まで。祝日を除く月曜と9日休場。一般700円で会期中は何度でも入場可。問い合わせは同センターTEL045(261)5467。