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弁護士「夫夫」の日常に密着 映画「愛と法」で伝えたいこと

10/5(金) 14:40配信

MBSニュース

薄い氷の上をたまたま割れずに歩いてこれた

大阪の弁護士・南和行さん(41)と吉田昌史さん(40)。一緒に法律事務所を構える、同性のカップルです。

先月公開された、ドキュメンタリー映画「愛と法」。カメラは2人が社会の「枠」から追い出された少数派の人たちに弁護士として向き合う姿や、プライベートでも「家族」となった2人の普段の暮らしを記録。2年半に及ぶ弁護士「夫夫」の日常を描き出しました。

Q.カメラが密着することに抵抗はなかった?
「私生活の部分はOK。目立ちたがりなんで。確かに見る側のとき、誰かの私生活の部分でへーと思って、おもしろいと思うほうなんで」(南和行さん)
「彼は本当に軽く言うんですよね。カメラが家に入ってきて、ごはん食べているところを撮って。いまだに自分が作ったものが映るのが恥ずかしくて恥ずかしくて。やると決めたら隠さないでおこうというのはあった。ここは隠しておこうとか、ここはごまかそうとか意味がないし、いいものができない感じがしたので」(吉田昌史さん)

積極的で、明け透けな性格の南さんと冷静でしっかり者の吉田さん。出会いは2000年京都大学の大学院でした。2人は少しずつ同性カップルであることを周囲に話しますが…。

「(明るい性格の)僕ですら母に同性愛やと言ったときに、最初は一生不幸になる覚悟あるんかと言うわけです。同性愛の人が若いときに自殺未遂するとか自殺してしまう人が多いという話は、実際の数字より体感的なものとして、そらそうだろうと思った。パートナーに出会って、2人とも弁護士。一定の安定を得ているというのは、僕らがすごいというよりも薄い氷の上をたまたま割れずに歩いてこれたという感覚」(南和行さん)

2011年に2人は「結婚式」を挙げ、親や友人の祝福を受けて「夫夫」になりました。その2年後、一緒に法律事務所を開設。今年7月には、大阪市から結婚に相当する「パートナー」として公に認められました。

「少数派」になる可能性は誰にでもある

映画の公開初日、劇場は満席でした。「LGBT」と呼ばれる性的少数者に理解を示す人が増える中、最近では自民党の杉田水脈衆院議員がLGBTを「生産性がない」などと月刊誌「新潮45」に寄稿。その過激な主張に波紋がひろがりました。

「内容としてはそもそも議論したいとか、何か練って練って考えた上に論述をしたという感じじゃなくて、ヘイト的要素が強いものが多かった。私たちの地続きの社会でいろんな人が生きていて、自分と違う人がいっぱいいてて、へーと思うような人生、日常を送っている人もたくさんいることをまず知って。知ったらそんなことを軽々しく言われへんやん、という気持ちを一つずつみんなの気持ちがひっくり返っていくというか、自然と変わっていくしかないと思う」(南和行さん)

映画では、卒業式の君が代斉唱で起立しなかった元高校教師や戸籍を持てないでいる人、作品がわいせつ物にあたると罪に問われた芸術家といった、自分の生き方と社会のしくみとの間で葛藤を抱えるいわゆる「少数派」と呼ばれる人たちが登場します。普通に暮らすなかでも少しの意見の違いからある日突然、少数派になる可能性は誰にでもある。そのことを感じとってもらいたいというのが、この映画で自分たちをさらけ出した2人からのメッセージです。

「ただ普通に生きている一人の人間がたまたまゲイで、パートナーもゲイで2人で普通に仕事をして食事をして生活をしているんだよという姿をまず見てもらいたいな。この映画に映し出されている問題や社会が、自分にも繋がっているものだという感じを持ってもらえることを期待している」(吉田昌史さん)

(10月4日放送 MBSテレビ「ちちんぷいぷい」内『ニュースな人』より)

最終更新:10/5(金) 14:40
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