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2020を機に、東京はどう変わるのか? ライゾマティクス齋藤精一が見据える「東京の街づくり」

2018/10/5(金) 18:34配信

みんなの2020

旧皇室庭園としての長い歴史を持ち、都会の喧騒から離れて四季折々の自然を感じられる場所として多くの人々に愛されてきた、新宿御苑。通常は夜に立ち入ることのできないこの場所が、10月12日、一夜限りのミュージアムへと変貌する。

『GYOEN NIGHT ART WALK 新宿御苑 夜歩(よあるき)』
主催 新宿御苑・OPENPARKプロジェクト実行委員会
(一般財団法人カルチャー・ヴィジョン・ジャパン/株式会社ライゾマティクス)

光と音の演出により、歩きながらにしてアート空間に没入できるというこのイベントは、内閣官房「オリンピック・パラリンピック基本方針推進調査に係る試行プロジェクト」として、2020年とその先へのレガシーをつくることを目指すとしている。

新宿御苑にアートの空間をつくることと、東京2020大会のレガシーがどう関係してくるのか? 今回は、このイベントの総合ディレクターを務めるライゾマティクス・アーキテクチャーの齋藤精一氏に、“街づくり”をテーマに話を聞いた。

マクロとミクロのレンズで、モノ・コトをつくる

「それが一番困る質問かもしれません。訳分からないですよね、僕も分からないです(笑)」

その人は、少しほほ笑んでそう答えた。

園内約2キロ強のコースに複数の通過型インスタレーションを設置し、自然とテクノロジーを融合させることで東京の都市空間において魅力的な空間を創出する、『GYOEN NIGHT ART WALK 新宿御苑 夜歩(よあるき)』――。

その空間演出を手掛ける齋藤精一氏は、大規模な屋外インスタレーションや、インタラクティブな広告プロジェクト、大小さまざまなフェスティバルやイベントの演出などを手掛け、国内外から注目を集めるクリエイティブ集団「ライゾマティクス」の代表取締役を務める。

前出の言葉は、このインタビューで最初にした質問、「齋藤さんのお仕事を自分の言葉で表現するなら?」に対する答えだ。

「たぶん、でも、“モノづくり“、“コトづくり“の人なんですよね。個人的に見てみたい風景とか、こういう社会になってほしいなという姿があって、それをモノやコトだったり、現象、イベント、事業、サービスだったり、毎日いろんな方法で実現させようとしている、ってことじゃないですかね」

齋藤氏のこれまでのキャリアを振り返ると、その活動は非常に多岐にわたる。例えば、「六本木アートナイト」や「Media Ambition Tokyo」などのアートプロジェクトで推進役を務め、「ミラノ国際博覧会 日本館」では最先端技術を駆使した日本のイメージ映像を制作。「渋谷ヒカリエ」内に設置されているデジタルサイネージのコンテンツデザインに、全自動衣類折りたたみ機「ランドロイド」の統合ブランディング。auのスマホを使った参加型イベント「FULL CONTROL TOKYO」では、増上寺の本殿壁面にプロジェクションマッピングを施したり、東京タワーの色を変えるといった演出をバックにきゃりーぱみゅぱみゅがライブを行う様子が、「驚きを、常識に。」のキャッチコピーと共にCMでオンエアされていたのを覚えている人もいるだろう。

その一つひとつを見ていくと、アート、コマーシャル、ブランディング、デザイン、アーキテクチャー、都市開発など、あらゆる領域にまたがり、またレイヤーもさまざまだと感じられる。だが齋藤氏は、「僕の中では全部一緒で、つながっている」と言う。

「そういった意味では、僕は2つのレンズで見ています。一つは個人の欲求といった“ミクロ“のレンズ、もう一つはこういう文化やアートが生まれればもっといい社会になるんじゃないかといった“マクロ“のレンズ。その両方をシームレスに考えていますし、業界を横断していかないと面白いことはできないと思っています」

一つひとつが違うように見えるものを、分けて考えるのではなく、全てつながっているものとして考える。それが齋藤氏の強みであり、仕事そのものだといえるだろう。日本にはこうした物事を総合的に考えられるプロデューサーが絶対的に不足しているという。

「例えば街づくりの場合、“ミクロ“ではデザイナーやアーティストといったクリエイティブな人たちが自分たちの理想論で話をします。一方で、条例や法律による規制などの現実論で見なければいけない人もいれば、国家戦略から見た都市計画といった“マクロ“で考えている人もいます。まったく言語の違う人たちの間に入って、翻訳して、つないでいく。そういったプロデューサーが今の日本に求められていると感じますね」

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最終更新:2018/10/5(金) 18:34
みんなの2020

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