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二つの国のはざまで揺れる子ども 難民題材の劇映画上映へ

10/5(金) 14:31配信

カナロコ by 神奈川新聞

 日本で難民申請するミャンマー人家族を題材にした劇映画「僕の帰る場所」が6日~11月2日、東京のポレポレ東中野で上映される。東京国際映画祭の「アジアの未来」部門ではグランプリと監督賞に輝き、オランダの映画祭でも子役の少年が最優秀俳優賞を受賞した。作品に込めた思いを、監督の藤元明緒(あきお)(30)に聞いた。

 2013年、経済成長が続くミャンマーを舞台に、映画を撮る企画が持ち上がり、偶然監督に選ばれた。ミャンマーの文化に詳しくなろうと、在日ミャンマー人たちが集う料理屋に足を運ぶと、故郷を離れ、日本で暮らさざるを得ない人々の事情が垣間見えた。

 「料理屋には、難民申請をしている人が多くて、その中で映画のモデルになる男性と出会いました」。男性は難民申請したが認められず、妻と子どもがミャンマーに帰り、家族が離れ離れになっていた。

 「僕も親が離婚しているので、親の都合で子どもが振り回されることがずっと心に引っ掛かっていて、子どもの気持ちをいつか映画で表現したいと思っていました」と脚本を書いた当時の心情を語る。

 一方で、家族の離散を引き起こす日本の難民認定制度の問題にも興味を持った。入国管理局の職員が家に来た時の光景や、その時の心情を体験者たちに取材し、彼らの直面する経済的な不安や、故郷に帰りたくても政治的な理由で帰れない事情を脚本に盛り込んだ。

 リアルな描写にもこだわり、演技経験の無いミャンマーの人々を役者に起用。父(アイセ)、母(ケイン)、長男(カウン)、次男(テッ)は、それぞれ本名で配役し、母と長男、次男は日本に暮らす実の親子が演じた。

 「本物の親子が演じたからこそ、現実と映画の境目が消え、子どもたちの自然な演技が引き出せた」と藤元。兄弟けんかや、父と子の涙の別れ、疲れた母を心配する子どもたちのシーンなど、観客はまるでドキュメンタリーを見ているような錯覚に陥る。

 「映画では、あえて難民認定制度については、一から説明していません。説明をすると、『かわいそうな人たち』と、差別的な目線で捉えてしまうように感じました。どの国の家族にも共通する日常を描くことで、日本の問題が浮かび上がってほしかった」と思いを込める。

 藤元は「日本で育ったにもかかわらず、親の国に帰らないといけない子どもたちがいる。映画が、その子たちに思いを寄せるきっかけになれば」と話している。

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