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進まぬ学校の統廃合 欠ける子供ファースト

10/6(土) 20:20配信

産経新聞

 学校の統廃合が進まない背景には、地方では学校が防災や地域の交流拠点となっているほか、母校を失うことへの強い抵抗感などがある。ただ、子供たちの教育という観点からはデメリットも多く、“子供ファースト”の観点で議論を進めることが求められている。

 学校の統廃合が進んでいないことについて文教大の葉養(はよう)正明教授(教育行政学)は「地方では学校の存廃は選挙の公約になるほど重要な問題で、簡単ではない」と話す。特に人口が少ない市町村では、課外活動の中で子供たちが地元のお年寄りと交流することも多く、都市部に比べて地域社会とのつながりも深い。地域で学校の存廃が議論となっても「存続」を求める声が多数を占めるため、首長や地元議員も後ろ向きになりがちだ。

 ただ、教育的な観点からはデメリットも多い。1学年に1学級しかなければ、クラス替えはなく、卒業まで同じメンバーで過ごすことになる。新たな人間関係を形成する機会が乏しいほか、いじめなどが発生しても、クラスを引き離すなどの対処ができなくなる。クラブ活動や部活動の種類も制限され、配置される教員数も少なく、中学では専門外の教科を教えることも起こりうる。

 財政面でも非効率だ。本来は地域で1校が適正なのに、複数あれば、それぞれに教員を配置する必要があるほか、施設の維持費なども余分にかかる。SMBC日興証券の末沢豪謙(ひでのり)金融財政アナリストは「完全にコスト倒れを起こしている学校がいくつもある。財政負担が上がり、教育の質は下がるという最悪の状況で、子供ファーストに全然なっていない」と指摘する。

 統廃合をした際に懸念されるのは、通学の距離や時間が伸びる点だ。国も適切な通学時間を「おおむね1時間以内」としている。ただ財務省が昨年、全国の小規模学校(児童・生徒数が30人以下)を対象に調査したところ、最も近い学校と統廃合すると仮定した場合の想定通学時間は、8割以上の学校が1時間未満だった。1時間を超える場合でも、スクールバスの導入などで問題の解消は可能だという。(蕎麦谷里志)

最終更新:10/6(土) 20:20
産経新聞