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捨て犬たちの声を聞け 殺処分テーマの朗読劇に、演出家が重ねる思い

10/6(土) 10:40配信

sippo

 動物愛護センターで死に直面しながら それでも飼い主が迎えに来ると信じて生きる9匹の犬たち。そのさまを台詞だけで描く朗読劇『cry!cry!!cry!!!~犬達の遺言~』が、この夏も東京都内で上演された。演出を手がけた滝沢正光さん(44)には、自らの人生に重なる特別な思いがあった。

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 柴犬、トイ・プードル、パグ、パピヨン、ミックス犬など、9匹の犬たちが連れてこられたのは、とてつもなく「暗い」場所だった。

「ここは犬のホテルでしょ?」

「早くご主人様が迎えに来ないかな?」

 長老のゴールデン・レトリーバーが、幼い犬たちに諭すように言う。

「ご主人様は、必ず迎えにくるよ」

 だが、そこは郊外にある動物愛護センターだった。

 最初はすぐに家に戻れると信じていた犬たちだが、2日、3日たっても、なぜか迎えは来ない。4日、5日とたって、犬たちは自分たちに迫る運命を知る。命の期限は7日間。すぐそこまで死が迫っていた。

「結局、オレたちの命は人間次第だ」

殺処分の現実を知る

 役者の台詞だけで展開される朗読劇『cry!cry!!cry!!!~犬達の遺言~』に登場するのは、9匹の犬。犬のような衣装もない。昨年から今夏までに5回ほど上演された。企画制作を担った演劇プロジェクト「Double Spin」の演出家、滝沢正光さんは、上演のいきさつについてこう説明する。

「東日本大震災があった年に、同じ題材で7日間の命を生きる『Dogs 7days』という演劇に取り組みました。実は僕は動物にさほど興味がなく、脚本を渡された時、ピンと来なかった。でも、いざ演劇の形にすると、毎回上演を観て、ぼろぼろ泣いてしまう自分がいたのです。犬の忠誠心や人間好きなところにインスパイアされて、いつか環境が整ったらミニチュアシュナウザ―を飼いたいなんて思ったりして。そうか、これは自分のように動物に関心がなくても“心動かされる”テーマなんだと思ったんです」

 滝沢さんはこの演劇の演出に携わるまで、犬猫の殺処分についてあまり知らなかったという。

「テーマが決まった時、千葉の動物愛護センターを訪ねました。保健所の存在は知っていましたが、収容期限が決められていたり、ガスで処分されたりすることは知らなくて。収容1日目の犬は騒いでいるのに、5日目、6日目になると、犬がじっとしているんですよ。その落差を表現したいと思いました」

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最終更新:10/6(土) 10:40
sippo