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メルセデスは「EQC」がそこまで売れると考えていないようだ

10/6(土) 17:03配信

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ベースになったGLCとほぼ同じボディサイズ

9月4日ストックホルムで、メルセデス・ベンツが本格的BEV(電気自動車、ピュアEV)となる「EQC」を発表した。発表の冒頭にディーター・ツェッチェ社長が「因縁の地で、このように画期的なニューモデルを発表することができることを嬉しく思っております」。と自虐的なユーモアを交えて登場したのは面白かった。何しろ1997年に鳴り物入りで登場した「Aクラス」に転倒の危険があるという評価を下し、一時販売中止に追い込んだ「エルク・テスト」は、スウェーデンで行われたからだ。※エルク=ヘラジカが道路を横切る状況を想定した急ハンドルを切るテスト。

>>メルセデス・ベンツ EQCの写真<<

さて、発表された「EQC」は全長4.76m、全幅1.88m、全高1.62m、そしてホイールベースは2.87mと、ベースになったGLCに近い数字である。デザインは2年前のパリ・モーターショーで発表されたコンセプトモデルに近く、デザインを統括するゴーデン・ワゲナーが主張する官能的な曲面で構成されている。しかしグリルはショーモデルのようなツルっとした非貫通のブラックパネルグリルではなく、補機類冷却のために一般的な貫通したグリルとなり、ドアミラーはカメラではなくコンベンショナルな鏡である。一方、キャビンはAクラスに見られるような極力メカニカルスイッチを廃したデジタルデザインで、10.25インチのモニターが2枚並び、「ヘイ、メルセデス」と呼びかける最新のボイスコントロールを使うMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)が採用されている。

リアルワールドでの航続距離は300km程度か?

前後のアクスルを駆動する2基の電気モーターは合計で300kW(408PS)と765Nmを発生、650kgのLG製パウチタイプのリチウムイオン電池込みで、車重2.5トン近い5シーターを0-100km/hを5.1秒で加速し、最高速はリミッターの介入する180km/hまで達する。

注目の航続距離は最大で450kmと発表されているが、おそらくWLTPでは300km程度だろう。一方、充電時間は電池残量10%の状態で、110kWの直流急速充電器があれば、40分で80%の充電が可能になる。ただし220Vの家庭電源(ドイツ)では、おそらく充電に9時間くらいかかることを覚悟しなければならないだろう。

社内開発コード、すなわちシリーズ名がN293と名付けられたEQCのベースについては様々な報告がなされているが、どうやらGLCやCクラスと同じMRA(モジュラー リアホイール ドライブ アーキテクチャ)プラットフォームをモディファイしたEVA(エレクトリック ビークル アーキテクチャー)採用しているようだ。どういうことかというと、EQCの生産は北ドイツのブレーメン工場で行われるのだが、ここではGLCやCクラスが同じラインで生産されており、EQCの受注生産がフレキシブルに対応できるように考えられているからである。

すなわちメルセデス・ベンツはこのEQCが爆発的に売れるとは考えていないようだ。もっとも政府の指導下でNEV(ニュー・エナジー・ビークル)が強制される中国市場は別で、この場合は北京工場で対応する。欧州での販売は来年6月頃からで価格はまだ正式に発表されていないが、おそらく7万5000ユーロ(約1000万円)程度だろうと予想されている。

レポート:木村 好宏

最終更新:10/6(土) 17:03
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