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<北朝鮮内部>文大統領が訪問の三池淵郡は数万人を強制動員して建設中 住民は強い反発 (図・画4点) 修正版

10/8(月) 16:39配信

アジアプレス・ネットワーク

9月に訪朝した韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領がも立ち寄った白頭山麓の三池淵(サムジヨン)郡は、金正恩(キム・ジョンウン)氏が2016年11月に、「革命の聖地」として国際的な一級観光地として建設することを命じた特区だ。今年に入り、全国各地から多数の住民が建設工事に動員され、さらに建設資材や資金の供出も求められて、住民の負担は大きく、反発の声が上がっている。(カン・ジゥォン/石丸次郎)

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「三池淵郡の建設に全党、全軍、全民が総動員されなければならない」

2017年2月22日付けの労働新聞は、社説でこのように主張した。それ以来、住民に対する物資支援の要求や工事現場への強制動員がエスカレートし、反発の声が各地から上がっている。

「地域の住民対象の会議では、砂利などの建設資材や、手袋など工事に必要な消耗品を出せと、二日に一回は言い渡される。機関や職場では工事に動員される『突撃隊員』を出せと指示された。いいかげんにしてほしい。うんざりだ」
地元の両江道の取材協力者はこのように述べる。

◆「突撃隊」とは何か?

国家的な大きな建設プロジェクトに動員される建設労働部隊のことを「突撃隊」という。職場や党員などから選抜される。

発電所、平壌のアパート街、道路や鉄道などの建設に投入される。基本的には無報酬で、軍隊を模倣した組織形態を持つ。

今回の三池淵建設のための「突撃隊」は、金正日氏の生誕日にちなみ「2.16師団」と名付けられ、その下に、日本の都道府県に当たる「道」ごとに旅団が置かれている。例えば「2.16師団傘下の平安南道旅団」という具合だ。その下に大隊が置かれる。


「工事現場に道別に宿舎を建てて『突撃隊員』は合宿生活をさせられている。全国から支援食糧を徴発しているので、食事は出ているようだ。

現地に住み込んでの土木作業は6カ月交代。家庭の主婦は常駐できないので、道路補修に頻繁に動員される。作業に出ない住民は金を出せなくてはならない。」
三池淵郡に住む別の取材協力者は、現地の様子をこのように言う。金持ちは金を払えば実質的に動員は免除されるため、不公平感も強いという。

三池淵建設に、一体どれくらいの人員が動員されているのだろうか? 正確には不明だが、全ての道で広く組織されていることに加え、「突撃隊」以外にも、軍が大規模な建設部隊を投入しており、全体では常時数万人が従事していると思われる。

現在、当局が特に力を入れているのは、恵山-三池淵間の鉄道工事だ。この工事は金正日時代から始まっていたが、資材不足、エネルギー難で完工が大幅に遅れていた。

金正恩政権は2年前から作業を急がせたがでたらめが多く、金正恩氏が、7月に現地視察した際にそれを批判し、一部をやり直すことになったという。

「地元の恵山市では、機関、企業所ごとに担当する区間を決めて線路用の砂利の追加、石垣工事のやり直しをさせている。線路の路盤固めもやり直しているが、もう何年も延々とやっている」
と三池淵郡の取材協力者は述べる。


◆「突撃隊」を隔離して文大統領から見えないように
文在寅大統領一行は、9月20日に金正恩氏のアテンドで三池淵から白頭山に登った。「突撃隊」の姿を見ていないはずだ。地元の取材協力者は、

「文大統領ら韓国の一行に見られないよう、数日前から三池郡の『突撃隊員』たちは完全に隔離されていた」と述べた。

※2016年11月28日付け労働新聞は、三池淵を視察した金正恩氏が、「金正日将軍の故郷である三池淵を革命の聖地として建設すること」を指示したと報じた。
※三池淵郡の茂峰(ムボン)地区を「国際観光特区」にする政令が、2015年4月22日に発表されている。

←(クリックで拡大)三池淵付近図(アジプレス)

←(クリックで拡大 参考写真)平壌のアパート街建設に動員された若い女性の突撃隊員。2011年8月撮影ク・グワンホ(アジアプレス)