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郵便局の”名字検索サイト”がSNSでトレンド入り、若者の年賀状離れに「まずは興味を」

10/10(水) 6:30配信

オリコン

 今年も9月から郵便局のWebサイトで年賀状の予約がスタート。合わせてオープンしたキャンペーンサイト『郵便年賀.jp』内のコンテンツ「ニッポンの名字」が話題になっている。名字の人数や由来を検索してSNSでシェアできる同サービスは、一時はサイトに繋がりにくくなるほどの盛り上がりを見せた。ここ数年は“若者の年賀状離れ”が久しく、年賀状の発行枚数も2009年に前年のマイナスを記録してから以降9年連続で減少。SNSの普及で住所や本名を知らなくても連絡が取れるようになり、「あけおめ」「ことよろ」で済んでしまう今、日本郵便は若年層向けのコンテンツ強化している。では、なぜ“名字”に目をつけたのか。今後はどのように若年層向けに展開していくのか。日本郵便・デジタルビジネス戦略部担当部長の西村哲さんに話を聞いた。

【画像】「鰻(うなぎ)さん」「躑躅森(つつじもり)さん」「清都(きよと)さん」…全国に何人!? 珍しい名字の検索結果

■郵便と名字、親和性の高さに着目 「名前は相手を思い浮かべるきっかけ」

 日本の年始の風物詩である年賀状だが、電子メールやSNSの普及により、年賀状のみならず手紙を書くこと自体が減っているのは事実。かつては、プリントゴッコなどの小型印刷機を使って各家庭で年賀状を作成するのも年末恒例の行事だったが、家庭用プリンターの普及もあり2012年にはプリントゴッコの事業自体が終了している。年賀状に逆風ばかりが吹いている中、年賀状から一番足が遠のいていると思われる若者層向けにキャンペーンを展開しているのが、「ニッポンの名字」なのだ。調べたい名字を検索すると、同じ名字の人が全国に何人いるのか、名字の由来や全国ランキングがわかり、名字トリビアなども知ることができる。

 「あまり年賀状を書かなくなった若年層に向けて、年賀状にまずは興味をもってもらいたいと企画しました。『年賀状を書きましょう』とストレートに訴求しても、年賀状を書いたことがない若年層には『自分には関係ない』と、あまりピンとこないと思います。そこで年賀状を“自分事”化できる、年賀状に興味を持ってもらう企画を検討しているとき、『名字』を思いつきました」(西村さん)

 手紙を送るとき、必ず書くのは相手の名前。年賀状となると1年に1回、必然的に相手の名前を思い出すことになる。「名前を書きながら、『あの人は、今なにをしているのかな?』と、相手を思い浮かべることもありますよね。このコンテンツでは、まずは自分の名字を検索して由来などを楽しむとともに、自分の大切な人たちの名字も検索したくなると思います。その相手を思い浮かべる気持ちと、年賀状を書いて出すことがうまくマッチングするのではと考えました」(西村さん)

■トレンド入りも、若年層のSNS拡散にアプローチ

 その思惑通り、9月19日の「苗字の日」に合わせて同サイトが公開され、Twitterでは「ニッポンの名字」が即トレンド入りした。日本郵便のLINEアカウントにお友だち登録している1000万人以上のユーザーに向けた告知でも、回避ページを作るなどサイトがダウンしないように対策を施していたが、想定以上のアクセスに一時つながりにくい状況となるほどだ。まさに「うれしい悲鳴」(西村さん)を上げることになったのである。

 匿名性の高いSNSでは名字がバレたくないもの。ところが、担当者も予想しない方法で名字を楽しむコンテンツは“自走”を始めた。「ご自身の名字部分を隠して画像を投稿されている方が多く、例えば手のイラストで可愛らしく隠していたりと、工夫されていましたね。あと、著名人の方々からの投稿もあって驚きました。自分の名字だけではなく、旧姓や好きな有名人やアニメキャラクターなど検索している方も多くいらっしゃいました」(西村さん)

 また、「ニッポンの名字」サイトのイラストには、Twitterで人気のただまひろさんのイラストを起用。とことんゆる~い脱力系のイラストなのだが、「堅いお話を堅いトーンでやっても、ターゲットにしたかった若年層は読みたいと思わないだろうと。あのゆる~いトーンがそのあたりを払拭してくれると思いました」(西村さん)とのこと。たしかに“お説教感”も肩苦しさもゼロ。若者ならずともすんなりと入りやすかったのだろう。

■「従来の価値観にとらわれずに」デジタル上のみで送り合う年賀状も登場

 そして、サイトのデザインはどことなくメッセージアプリ風。気軽に年始の挨拶ができるメッセージアプリはいわば年賀状とは競合関係にあるとも言えるが、「従来の価値観にとらわれず、今の人たちが求めているものを柔軟に取り入れていきたいと考えております」(西村さん)というだけあり、かつての“お堅くて地味で真面目な郵便局”といったイメージはない。それだけ年賀状をもっと身近に感じてほしいという思いも伝わってくるようである。

 他にも、「ニッポンの名字」内で「動物の名前そのまんまな名字」、「それってナゾナゾですか?な名字」といったコラムも更新中。また、年賀状特設サイト『郵便年賀.jp』内では、10月1日からは「ペット大喜利年賀」もスタート。ペットの写真と“ボケ”をSNSに投稿すると、特設サイトに掲載され、そこではユーザーが座布団マークの“いいね”で投票できるようになっている。また、ボケ無し写真のみの投稿も可能で、その場合は芸人の卵たちによるペット大喜利公式芸人たちがボケを考えてくれる。そんな「ペット大喜利年賀」は『アメトーーク!』(テレビ朝日系)などを手掛ける放送作家の遠藤敬が監修している。

 さらには、11月1日にはデジタル上ではがきを送ったり、受け取ったりできる「はがきを贈ろう!」コミュニティも公開。「『デジタルはがき』は『紙のはがき』を販売している日本郵便としては画期的な企画になります」(西村さん)というのだから、日本郵便はこれまでの企画の“枠外”へも触手を伸ばしている印象だ。

 「ニッポンの名字」が話題になり、若者層が年賀状にどのような反応を見せるのか気になるところ。“平成最後の年賀状”となるが、「年賀状は長い歴史がある伝統文化で、マナーも気になるところですが、そのマナーも時代に合わせて変化してきました。なので、作法などはあまり気にせず「送りたい」「送ってみようかな」と思い立っときに1枚からでも気軽に送ってみていただけると嬉しいです」(西村さん)と言う通り、年賀状に対する固定観念を見直し、今の時代に合った年賀状の価値を考えてみるのも一興かもしれない。

最終更新:10/11(木) 11:18
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