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国産プラモ60周年、ガンプラに見る金型職人の“匠の技”と接着剤不要の“技術革新”

10/11(木) 8:40配信

オリコン

 国籍、年齢、性別を問わず愛され続ける「プラモデル」。その歴史は古く、1958年12月に産声をあげた国産プラモデルの歴史は今年60周年を迎えた。先ごろ、東京ビッグサイトで開催された『全日本模型ホビーショー』では、「プラモデルで見る60年」と題し、“日本最初のプラモデル・ノーチラス号(マルサン商店)の再販モデルや、その金型を展示。また、これまで世に送り出された多岐に渡る膨大な種類の国産プラモデルを展示し、好評を博した。そこで、80年代以降、ガンプラブームを創出するなどし国産プラモ史において重要な役割を担ってきた「バンダイ」の担当者に、ガンプラを支えてきた金型職人の重要性や、接着剤を不要にした技術革新について話を聞いた。

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■“接着剤なし”のガンプラは歴史的変化「相反する命題を両立させた匠の技術

 1958年、マルサン商店より日本初のプラモデル・1/300モデル ノーチラス号が発売。そこから22年経った1980年、バンダイ模型によって初めてスケール表示を得た人型兵器模型「ガンプラ」が誕生。1/144 ガンダムの発売以降、子どもたちが行列を作る一大ブームを巻き起こした。

 当時のガンプラと現代のガンプラ、最も技術的に進化した部分は何か? それは「接着剤を使わなくなったこと」だとバンダイの担当者はいう。さらに、「塗料が無くてもアニメ同様のモビルスーツが出来あがります。組立説明書に従って作り進めていけば誰もが完成させることが出来る」と、老若男女問わず愛される“ガンプラ”の魅力を語った。

 80年のガンプラ誕生以降、プラモに付属していた接着剤が足りなくて困ったことや、間違って接着した部分を剥がそうとしてパーツを壊してしまった経験を持つ人は多い。しかし、現代のガンプラではそうした悩みは皆無だ。一見、“歴史的変化”としてとらえづらい部分ではあるが、実はここに画期的な技術革新があったのだという。

 「接着剤無しでパーツを組み上げていく現在の商品仕様は“スナップフィット”といいます。パーツ同士がハメ込み易く、一方で抜け難いという相反する要求を満たす精度を商品に持たせるという点は、バンダイスピリッツのプラモデルの最も肝要なポイントのひとつです」と解説。そして、「それは“金型”の仕上げの最終段階で職人の手に委ねられる点でもあります」と金型の重要性を強調した。

 プラモデルは金型の精度がそのまま製品の精度に直結するという。CP技術の進歩はむろんだが、最終的には職人の技術によるところも多分にあり、100分の1mmレベルで管理しているのだという。担当者によればガンプラ一体の金型制作は「通常1カ月~1カ月半くらい」とのこと。いかに金型作りが重要なのかが伺える。

■ガンプラブーム終焉を救った“僕らのガンダム”『BB戦士』

 だが、ブームがあればその終焉もある。80年代のガンプラブームの後、低迷期もあった。そうした逆行の中、バンダイのプラモにおいて大きな役割を果たしたのが『SDガンダム BB戦士シリーズ』なのだそう。

 「BB戦士シリーズは安価で作り易いという商品スペックで、ガンプラ入門キット的な位置付けでした」と担当者。そして何より「子供たちにとって、ガンダムはお兄ちゃんたちが熱中してきたものであるのに対し、『コミックボンボン』(講談社)でメディア展開していたBB戦士は、“僕らのガンダム”という意識で支持されたという点が大きいのでは」と語った。

 ガンダムが“キャラクター化”されたBB戦士は、手ごろな価格で組み立ても容易。さらに、決して子ども騙しと感じさせない緻密さとカッコよさ、さらに“可愛さ”までも備えたプラモデルだった。だからこそ、幼少期にBB戦士に触れた子どもたちが、大人になって再びプラモデル回帰を果たすのだろう。

 では、現在のガンプラのトレンドは何だろうか、担当者は「様々なガンプラのパーツを組み合わせ自分独自のガンプラを完成させる"ミキシング"という楽しみ方をされている方が多くいらっしゃいます」と回答。つまり、複数のガンプラから部品を流用・加工して、“自分だけのガンプラ”を作り出すことなのだそう。かつてちびっ子時代に誰もが夢見た「僕の考えた最強のガンダム」を、手軽に作ることが可能なのだという。

 いまもアニメ『ガンダムビルドダイバーズ』(TV東京系)が放送され、二世代、三世代でガンプラに親しんでいる家族が多いという。東京五輪が開催される2020年には40周年を迎えるガンプラ。世界で愛されるガンプラからどんな新技術が誕生するのか楽しみだ。

最終更新:10/13(土) 3:25
オリコン