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人口減少も関係なし 拡大するチョコレート消費 販売好調の理由は

10/9(火) 12:10配信

産経新聞

 チョコレートの販売が好調だ。販売金額は過去10年ほぼ右肩上がりに伸びており、人口減などによる市場の縮小懸念もどこ吹く風だ。今秋には「第4のチョコ」ともいわれる、目にも鮮やかなピンク色の「ルビーチョコ」が登場するなど話題にも事欠かない。チョコの1人当たりの年間消費量は2・16キロに増大。商機と見たメーカー側は増産に乗り出し、コンビニ各社も品ぞろえ強化に動いている。

 ■輝くピンクチョコ

 東京都内のホテルで9月18日、ルビーチョコの新商品がお披露目された。着色料を一切使わないのにルビーのようなピンク色に輝き、酸味のきいたフルーティな味わいが特徴だ。

 手がけるのはスイスのチョコメーカー「バリー・カレボー」。同社によると、チョコは長らくダーク、ミルク、ホワイトの3種類しかなく、ピンク色は人為的に着色するしか手がなかったが、同社開発陣がルビーカカオ豆に着目。約10年という歳月をかけ試行錯誤の末に商品化にこぎ着けた。

 同社日本法人のパスカル・ムルメステール代表取締役社長は発表会で、「ルビーチョコの誕生は(パティシエらの)創造力を解き放つだろう」と強調した。

 発表会会場には、ルビーチョコを素材に用いた商品事例もお披露目され、著名洋菓子店「パティシエ エス コヤマ」が手がけたケーキやユーハイムのお菓子など洗練された商品が並んだ。

 これからのシーズン、クリスマスやバレンタイン商戦向けにピンク色のチョコが売り場を席巻することになるかもしれない。

 ■チョコ、突出した伸び

 チョコの市場拡大が止まらない。全日本菓子協会のまとめでは、販売金額は平成15年~22年まで4千億円を超える程度で推移したが、23年以降伸び始め、29年には5500億円に達した。「お菓子の中でチョコの伸び率の高さは突出している」(同協会)といい、さらなる伸びも期待されている。

 背景にあるのは“大人需要”の拡大だ。チョコといえば子供向けお菓子の代表格だったのは一昔前のことで、今や大人向けスイーツに変貌している。そのキーワードはなんと言っても“健康食品化”だ。

 業界関係者が説明する。

 「チョコの原料のカカオには『カカオポリフェノール』が多く含まれ、動脈硬化予防や高血圧の改善に役立ちます。そのカカオの含有量が多いタイプを『ハイカカオチョコ』と呼び、いま、最も人気があるのです」

 また、腸内環境改善に役立つ乳酸菌配合のチョコなど機能性を強化した商品も登場しており、「健康を気遣う男性も含めた大人が積極的にチョコを食べるようになっている」(業界関係者)。

 結果、ここ数年のチョコ旋風が巻き起こったわけだ。

 メーカー側は千載一遇の商機とみてチョコ増産にシフトする。業界大手の明治は約270億円を投じて埼玉・大阪両府県の2工場の生産ラインを増設。「ハイカカオチョコの『チョコレート効果』シリーズなどの生産を手がける」(同社)としている。

■コンビニ、チョコ品ぞろえに注力

 小売りの最前線、コンビニエンスストアもチョコ人気を見逃さない。ローソンはルビーチョコを使った「Uchi Cafe プレミアムルビーチョコレートのロールケーキ」を9月25日から発売。「発売から4週間で110万個を売り切る」と涌井和広・上席執行役員は自信を見せる。

 ファミリーマートは会員制交流サイト(SNS)で話題のチョコミントファンを指す「チョコミン党」とのキーワードに着目。今年はチョコミント味のフラッペ、パン、菓子など約30種類の商品を販売。ミニストップは発売時期の問い合わせが殺到するほどの人気という「ベルギーチョコソフト」を今年も発売した。

 日本チョコレート・ココア協会によると、チョコの1人当たりの年間消費量は15年の1・84キロから29年には2・16キロに増大した。「チョコの健康的な側面が受け入れられており一過性のブームではなくベースが上がったといえる」(同協会)と歓迎する。

 ただ、嗜好(しこう)品としての性格上、「人気の移り変わりに左右されやすい」(業界関係者)側面も指摘される。和菓子などスイーツの選択肢は多く、競合がひしめく中で定位置をこれからも確保していけるかどうか。業界の動きから当分目が離せそうにない。

(経済本部 柳原一哉)

最終更新:10/9(火) 12:10
産経新聞