ここから本文です

北朝鮮、豊渓里核実験場に米査察団を招待…「非核化に向けた信頼」の第一歩

10/9(火) 7:36配信

ハンギョレ新聞

米国務省「金正恩委員長が 不可逆的解体確認してもらうため招待」 ポンペオ長官「北朝鮮の準備整い次第行く」  他の核施設に対する査察の出発点であり 「先に核申告」→「行動・検証が先」 非核化の方法論の変化のシグナル トランプ大統領「シンガポール合意の進展」

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が咸鏡北道吉州郡豊渓里(プンゲリ)核実験場が「不可逆的に解体されたか」を確認する査察団を招待したと、米国務省が7日(現地時間)に明らかにした。

 これに先立ち、北朝鮮は5月24日、豊渓里に韓国や米国、中国、英国、ロシア5カ国の取材陣を招待し、「北部核実験場」を爆破・廃棄したが、韓米保守勢力を中心に「見せかけの爆破ショー」や「詐欺劇」など、非難の声が上がった。米国と国際原子力機関(IAEA)の検証専門家が現場にいなかったという理由からだ。国務省の発表は、金正恩委員長が7日、平壌(ピョンヤン)でマイク・ポンペオ米国務長官と面会した際、北朝鮮の唯一無二の核実験である「北部核実験場」が「永久的」(米国側の用語では「不可逆的」)に廃棄されたことを、米国政府の専門家が現場を訪問して「視察」(米国側の用語では「検証」)できるように処置すると約束したという意味だ。

 このような金正恩流の「非核化に向けた信頼構築措置」は二つの面で重要だ。第一に、朝鮮半島の「完全な非核化」という長い旅程の信頼性を確かめる初めての検証であり、他の核兵器と施設に対する査察と検証へと進む出発点になり得るという点で注目される。

 第二に、米国政府がポンペオ長官の4度目の訪朝を契機に、これまで対北朝鮮交渉で強調してきた「核リストの申告が先」という非核化の方法論に、変化を与えようとするシグナルと言えるからだ。これに先立ち、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩委員長が「9月平壌共同宣言」で、「核リスト申告」には言及せず、東倉里(トンチャンリ)と寧辺(ヨンビョン)など、「実物・行動(+検証)中心」の非核化プロセスを提示した内容と同じ脈絡だ。南北首脳は「核兵器のない朝鮮半島」を重ねて約束し、「東倉里のエンジン実験場やミサイル発射台を、関係国専門家の立ち会いのもと永久廃棄処分」(善意の一方的処置)+「米国が6・12共同声明の精神に基づいて相応措置をとるなら、寧辺の核施設の永久的廃棄などの追加措置」(条件付き追加措置)という「非核化の初期ロードマップ」を提示した。

 これと関連し、ポンペオ長官は北朝鮮を含めた南北中日4カ国の前後にして「核(リストの)申告」に触れていない。ヘザー・ナウアート国務省報道官が同日、ポンペオ長官の平壌訪問結果と関連して発表した報道資料にも、「核申告」という言葉は見当たらない。注目すべき変化だ。

 ナウアート報道官は、報道資料で「金委員長が、豊渓里核実験場が不可逆的に解体されたことを確認してもらうため、査察官を招待した」と明らかにした。さらに、「ポンペオ長官が金委員長と生産的な協議を行った。二人はシンガポール朝米首脳会談でトランプ大統領と金委員長が署名した共同声明に盛り込まれた四つの要素について話し合った」と述べた。6・12朝米共同声明は、新たな朝米関係の樹立▽朝鮮半島の恒久的かつ安定的な平和体制▽朝鮮半島の完全な非核化の志向▽戦争捕虜・行方不明者の遺骨発掘・送還など4項目が柱となっている。

 廃棄された豊渓里核実験場に米国の検証団を招待した案は、9月20日、文大統領が金委員長との会談を終えて行った国民向け報告の際に明らかにした「(非核化と関連し)協議した内容のうち、合意文に盛り込まれなかった内容」の一つとみられる。

 これと関連し、ポンペオ長官は8日午前、中国に向けて出発する前、ソウルのグランドハイヤットホテルで行われた随行記者団とのインタビューで、豊渓里核実験場の廃棄に対する検証が行われる時期について、「(検証のための)実務作業が終わり、金委員長の準備が整い次第」だと述べた。スティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表も同日、「南北の平壌共同宣言と、昨日ポンペオ長官と金委員長委員長が議論したことを総合してみると、私たちは今、シンガポール共同声明の中でも特に非核化問題が履行される初の流れを見ている」と述べた。朝米が「先に核申告」という大きな障害物を迂回する形で、本格的な非核化の第一歩を踏み出したことを表す発言だ。

 外交界では、朝米が豊渓里核実験場の検証に合意したことから、金委員長が「平壌共同宣言」で約束した「関係国専門家の立ち会いのもと、東倉里エンジン実験場とミサイル発射台の永久廃棄処分」についても話し合われたものとみている。ポンペオ長官も同日、東倉里施設と関連し、「それ(立ち会いの下での永久廃棄)も行われることを期待している」と述べた。

 問題はその次だ。平壌共同宣言によると、北朝鮮の核能力の象徴であり、「心臓」に当たる「寧辺の核施設の永久廃棄」には、「米国が6・12共同声明の精神に基づき、それに相応する措置を取るなら」という条件がついている。終戦宣言問題を含めて、これと関連し、金委員長とポンペオ長官がどこまで議論し、何に“合意”したかについては確認されていない。朝米双方ともこれについては具体的に発表していない。

 外交消息筋は「金委員長はポンペオ長官と面会し、自分が考えるトランプ大統領(1期目の)任期満了(2021年1月)前に『非核化と朝米関係の正常化』を完了するロードマップを説明しただろう」とし、「2回目の朝米首脳会談が開かれれば、具体的な合意が出るだろう」と話した。結局、米国が北朝鮮に与えるべき相応措置については、両方が実務交渉で非核化のロードマップや細部内容について協議してから、金委員長とトランプ大統領の第2回首脳会談で最終結論を下すものと見られる。

 トランプ大統領は7日、ツイッターを通じて「ポンペオ長官が平壌で金委員長と素晴らしい再会を果たした。シンガポール首脳会談の合意に関する進展が見られた」としたうえで、「近い将来、北朝鮮の金正恩国務委員長にまた会うことを心待ちにしている」と明らかにした。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員、イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:10/9(火) 8:00
ハンギョレ新聞

あなたにおすすめの記事