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「闘いはリングだけやない」ドキュメンタリー映画「破天荒ボクサー」の生き様とは(写真3枚)

10/10(水) 11:32配信

アジアプレス・ネットワーク

日本ボクシング連盟の助成金流用や山根会長による組織の私物化など、アマチュアボクシングをとり巻く醜聞があいついだ今年、ドキュメンタリー映画「破天荒ボクサー」が公開される。こちらはプロのボクシングが抱える問題をテーマに、ひとりのボクサーの奮闘を描いた作品だ。プロボクシングの「業界」を仕切るコミッション制度に異議を唱えるプロボクサーに、3年にわたってカメラを向け続けた武田倫和監督(39)に聞いた。(玉本英子・アジアプレス)

◆日本のプロボクシング制度に異議を唱え闘うボクサーに密着

日本のプロボクシングは、ボクシングコミッション(JBC)が業界を仕切っているのが現状。ボクサーがフリーでプロ活動をするにはいくつもの困難が立ちはだかる。その状況をなんとか変えたいと、ひとり闘うプロボクサー山口賢一の姿に惹かれ、撮影を始めた。

2002年にプロデビューした山口賢一。大阪帝拳で11連勝を上げるなど、好高成績を残してきたものの、世界タイトル戦の機会に恵まれず、JBCを脱退。その後は大阪市内で非加盟のジムを運営しながら、同じ境遇のボクサーの育成と、世界挑戦を目指してきた。選手の立場が弱く、ファイトマネーも安い日本のプロボクシング界の現状を変えたいというのが山口の思いだ。

見どころは、2015年、元新人王の日本人とのスーパーバンタム級世界タイトルマッチ開催にこぎつける山口の行動力だ。片言の英語を使っての試合交渉、駆けずり回ってスポンサーを探し、ファイトマネーを捻出する。ところが試合開催が近づくと、かつて所属した大阪帝拳と、西日本ボクシング協会の井岡会長が山口を呼び出す。JBC未承認の団体の試合開催に対し不満を示す協会。
大きな壁を前に、世界タイトルマッチに挑むボクサー、山口の闘いはどうなるのか……。

◆「破天荒ボクサー」の山口さんの生き様から見えてくるもの

武田監督は「事なかれ主義が蔓延している現代で、『事なかれは間違っている』と言う人はいたとしても、直接行動に移せる人は少ない。ひとりでそれを続けてきた山口選手の姿を見てほしい。ボクシングに関係なく、彼の生き様から背中を押される人は少なくないはず」と言う。

「破天荒ボクサー」は2018年東京ドキュメンタリー映画祭の長編コンペティション部門に選出された。映画公開は10月20日(土)~大阪市西区・シネヌーヴォ(06-6582-1416)に始まり、その後、名古屋など各地で上映の予定。

■ 武田倫和(たけだ・ともかず)
1979年生まれのドキュメンタリー映画監督。2001年、原一男監督主催のOSAKA「CINEMA」塾に参加。「南京・引き裂かれた記憶」では、南京大虐殺の元兵士や被害者を5年にかけて撮影。香港国際映画祭や上海国際映画祭で正式招待され、日本各地で劇場公開された。そのほかに「イナかのせんきょ(2014年)」、「わたしの居場所~新世界物語~(2017年)」などを監督。